バクー気候連帯協定とは?国連気候変動会議が合意した新たな資金目標
アゼルバイジャンのバクーで開かれていた国連気候変動会議が、当初の会期を30時間以上延長する異例の展開の末、日曜日にようやく閉幕しました。会議では「バクー気候連帯協定」と名付けられた包括的な合意パッケージが採択され、ポスト2025年の気候資金目標やカーボン市場のルールなど、今後の国際気候ガバナンスを左右する決定がまとまりました。
本記事では、この国際ニュースのポイントを日本語で整理し、押さえておきたい論点をコンパクトにまとめます。
20を超える決定を束ねた「バクー気候連帯協定」
今回の国連気候変動会議の中心となったのが、「バクー気候連帯協定」と呼ばれる成果パッケージです。国際社会がこれまで積み上げてきた枠組みである国連気候変動枠組み条約、京都議定書、パリ協定を具体的に実行するための決定が、20件以上採択されました。
協定は、緩和(温室効果ガス排出の削減)、適応(気候変動の影響への備え)、資金支援、市場メカニズムなど、複数の論点をバランスよく扱う内容となっており、各国が今後の気候行動を設計する際の新たな指針となります。
ポスト2025年の新たな気候資金目標
とくに注目されたのが、ポスト2025年の気候資金(クライメート・ファイナンス)に関する合意です。会議では、先進国と開発途上国の間で長年議論されてきた資金ギャップに一つの区切りを付けるべく、次のような目標が確認されました。
- 2035年までに、先進国が年間少なくとも3,000億ドルを拠出することを目指す目標
- 開発途上国の気候行動を支えるため、年間少なくとも1.3兆ドル規模の資金を動員するとの目標
これらは、気候変動対策を進めるための「最低ライン」として掲げられた金額です。海面上昇や干ばつ、豪雨などの影響に直面する多くの開発途上国にとって、資金アクセスが改善するかどうかは、適応策や再生可能エネルギーへの投資を拡大できるかどうかを左右します。
一方で、これらの数字が単なる約束にとどまらず、実際にどのような財源・仕組みで確保されるのか、今後の交渉と各国の国内政治が問われることになります。
カーボン市場と「緩和」「適応」のルールが前進
バクー会議では、パリ協定第6条に基づく国際炭素市場メカニズムの運用ルールが最終的にまとまりました。これは、国が他国で達成した排出削減分を国際的に取引したり、自国の目標達成に活用したりできる制度で、ルールの明確化は市場の信頼性と透明性を高めるうえで重要です。
あわせて、世界全体の排出削減を加速させるための「緩和作業プログラム」や、気候変動の影響に耐えうる社会づくりを目指す「世界全体の適応目標」に関する取り決めも進みました。これにより、各国がより具体的な行動計画をつくり、緑で低炭素な転換に向けて動き出すための国際的な枠組みが一段と強化された形です。
中国代表団の積極的な関与とメッセージ
会議には、中国代表団も全ての議題について交渉や協議に積極的に参加しました。また、会場内の「中国パビリオン」では、10日間にわたってテーマ別のイベントが開かれ、中国国内の取り組みや国際協力の事例などが紹介されたとされています。
中国は、パリ協定の下でこれまでに合意された行動が後退しないよう求めるとともに、多国間主義と「共通だが差異ある責任」の原則を重視する立場を示しました。この原則は、すべての国が気候変動対策に責任を持ちつつも、歴史的な排出量や経済力の違いに応じて役割を分担すべきだとする考え方です。
代表団団長で生態環境省副部長の趙英民氏は、「責任ある主要な発展途上国として、中国は国際情勢がどう変化しようとも、多国間プロセスと気候変動に関する国際協力を着実に進めていく」と強調しました。
さらに趙氏は、中国が自国の気候変動対策に関する国家戦略を継続して実施し、カーボンピークアウト(排出量のピーク)の達成とカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)の目標に向けて取り組みを進めると述べました。また、南南気候協力を通じて、他の開発途上国が気候変動に対応するのを支援し、グリーンで低炭素、気候に強靱で持続可能な発展に貢献していく姿勢を示しました。
私たちが読むべきポイント
バクーでまとまった新たな資金目標や市場ルールは、一見すると遠い国際会議の話に見えるかもしれません。しかし、再生可能エネルギー投資の拡大や、気候リスクに備えたインフラ整備の進み具合は、エネルギー価格や防災、雇用などを通じて、私たちの日常ともつながっています。
今回の会議が示したのは、「数字としての目標」は整いつつあるという現状です。今後は、これらの約束をどの国がどのように履行し、どれだけ透明性の高い形で進捗を共有できるかが問われます。日本を含む各国が、自国の政策・予算を通じてこの流れをどう具体化していくのか、次の国際会議までの動きに注目が集まりそうです。
Reference(s):
cgtn.com







