恐竜の台頭は「徐々に」 ポーランドの化石化したフンと吐しゃ物が語る進化
恐竜がどのようにして地球の支配的な存在になったのか――その謎に、ポーランドで見つかった化石化したフンと吐しゃ物が新たなヒントを与えています。最新の国際ニュースとして、恐竜の食生活と進化の戦略を日本語で分かりやすく解説します。
ポーランド発の「地味な化石」が恐竜研究を一歩前へ
今週、科学誌Natureに掲載された研究では、ポーランドの地層から見つかった数百点におよぶ恐竜などの化石化したフンと吐しゃ物を詳しく分析し、約2億年前の食物連鎖を再現しました。研究チームは、恐竜がどのようにして数千万年かけて地球で優勢なグループへと台頭していったのかを探ろうとしています。
フンと吐しゃ物から見えた2億年前の食卓
研究では、化石化したフンの中に残された微細な痕跡を丹念に調べました。そこからは、当時の生き物たちが何を食べていたのかが浮かび上がります。
- 魚のウロコ
- 昆虫の破片
- 小さな骨片
こうした「食べ残し」は、誰が誰を食べていたのかを示す手がかりになります。研究チームは、これらの情報を組み合わせることで、約2億年前の生態系ネットワーク、つまり「誰が誰を食べていたか」の関係図を描き出しました。
恐竜の台頭は「一気」ではなく「じわじわ」
研究者たちは、恐竜の台頭が約3000万年という長い時間をかけて進んだことを示しました。その背景に運や能力、気候変動のどれがどれだけ効いていたのかはまだ分かりませんが、共著者でウプサラ大学のマーティン・クヴァルンストロム氏は、恐竜の躍進は突然起きたものではなかったと指摘します。
何でも食べる「チャレンジャー」だった初期の恐竜
クヴァルンストロム氏によると、最初期の恐竜は「何でも食べてみる」タイプの挑戦的な生き物でした。フンの分析から、彼らが昆虫や魚、植物など、幅広い餌をとっていたことが示されています。特定の獲物だけに依存せず、利用できる資源は積極的に取り込む雑食的な戦略が見えてきます。
気候変化への素早い適応力
気候条件が変わったとき、恐竜はそれに素早く対応していたと研究は示唆します。とくに草食の恐竜は、同じ時代のほかの草食動物に比べて、もともと多様な植物を食べていたとされます。そのため、気候が湿潤になって新しい植物が増えた場面でも、食べられる植物の種類を無理なく広げることができたと考えられます。こうした柔軟な食性が、長い時間をかけて恐竜を生態系の主役へと押し上げた可能性があります。
化石化したフン研究の難しさと、その価値
エアランゲン=ニュルンベルク大学の古生物学者エマ・ダン氏によると、古代のフンを調べて過去の生き物を理解しようとする研究は、決して珍しいものではありません。ただし、化石化したフンは一見すると単なる岩の塊のように見え、どの動物が残したものかも分かりにくいため、扱いが難しい資料でもあります。
それでもダン氏は、こうしたフンが非常に繊細で詳細な情報を秘めていると評価します。今回の研究でも、肉眼では地味な背景の一部に過ぎない化石から、当時の環境や食物連鎖、そして恐竜の生き残り戦略に関する豊かなデータが引き出されました。
次の課題は世界各地の化石との照合
今回の分析はポーランドの化石記録に限られているため、得られた結論が世界全体の恐竜にどこまで当てはまるのかは、まだ分かりません。クヴァルンストロム氏は、今後は他の地域の化石データと比較し、今回の仮説がどこまで通用するのかを確かめたいとしています。
地球史レベルの大きな物語も、化石化したフンや吐しゃ物といった、いわば最も地味な証拠から描き直されつつあります。恐竜の台頭は一瞬で起きた劇的な出来事ではなく、小さな適応の積み重ねだった――そんな視点は、私たちが現在の地球環境や生物多様性を考えるときのヒントにもなりそうです。
Reference(s):
Fossilized feces and vomit help scientists reconstruct dinosaurs' rise
cgtn.com








