COP16国連報告書 世界の陸地4割が恒常的な乾燥化
サウジアラビア・リヤドで開かれている国連砂漠化対処条約(UNCCD)の第16回締約国会議(COP16)に合わせて公表された新たな報告書が、地球規模の深刻な乾燥化を警告しています。過去30年間で世界の陸地のおよそ4割が恒常的に乾いた状態となり、この傾向が続けば今世紀末までに最大50億人に影響が及ぶ可能性があるといいます。
世界の陸地の4割が乾燥地に
UNCCDの科学報告書によると、地球の陸地(南極を除く)の約40パーセントが、すでに乾燥地として分類される状態になっているといいます。これは農業が難しく、水資源が限られる地域が大きく広がっていることを意味します。
報告書が示した主なポイントは次の通りです。
- 1990年から2020年までの30年間で、地球の陸地の77.6パーセントが、それ以前の30年間と比べてより乾いた状態になった
- 同じ期間に、乾燥地は430万平方キロメートル拡大し、インドのおよそ3分の1に相当する面積が新たに乾いた地域となった
- 慢性的な水不足を示す乾燥度は、30年前の37.5パーセントから、現在は地球の陸地の40.6パーセントにまで広がっている
数字だけを見ると実感しづらいかもしれませんが、陸地の4割超という規模は、地球の姿そのものが変わりつつあるレベルだといえます。
干ばつと違う 恒常的な乾燥とは何か
報告書は、とくに恒常的な乾燥(アリディティ)に注意を促しています。UNCCDのイブラヒム ティアウ事務局長は、干ばつと乾燥の違いを次のように説明します。
一時的に雨が少なくなる干ばつとは異なり、乾燥は気候そのものが長期的に変化した状態だとされています。つまり、たまたま雨が降らない年が続いているのではなく、もともとの基準となる気候が、より乾いた方向へとシフトしてしまったということです。
ティアウ事務局長は、いったん乾燥が進んだ地域では、以前のような湿潤な状態には戻らない可能性が高く、この変化が地球上の生活を根本から再定義しつつあると警告しています。
COP16で議論される 地球の乾燥化と砂漠化
今回の警告は、砂漠化と土地劣化への対策を話し合うCOP16の場で示されました。会合は12日間の日程でリヤドで開かれており、気候変動の進行の下で、土地をどう守り、回復させ、干ばつにどう備えるかが主要なテーマになっています。
報告書は、世界の恒常的な乾燥化が主に温室効果ガスによる地球温暖化の結果だと指摘します。大気と海の循環が変わることで降水パターンが変化し、気温の上昇で蒸発が増えたことが、広範囲な乾燥を引き起こしていると分析しています。
もっとも影響を受ける地域はどこか
乾燥化の影響は世界中に及んでいますが、とくに危険にさらされているのは、地中海沿岸の国々、アフリカ南部、オーストラリア南部、さらにアジアや中南米の一部地域だとされています。
すでに約23億人が、拡大する乾燥地で暮らしていると報告書は推計しています。地球温暖化がこのまま進めば、最悪の場合、今世紀末までに乾燥地で暮らす人の数は50億人に達する可能性があるといいます。
乾燥が恒常化すると次のような連鎖が生じると懸念されています。
- 土壌の劣化や砂漠化の進行
- 生態系の崩壊と生物多様性の損失
- 農業生産の低下による食料不安
- 水や土地を求めた国内外の移動、強制的な移住の増加
UNCCDの首席科学者であるバロン オア氏は、化石燃料の燃焼が世界各地で恒常的な乾燥を引き起こしているとし、水へのアクセスに壊滅的な影響を与え、人と自然を気候の臨界点にさらに近づける恐れがあると述べています。
求められる対策 何ができるのか
では、こうした乾燥化の流れを前に、国際社会は何をすべきなのでしょうか。報告書は、次のような対策を各国に呼びかけています。
- 既存の干ばつ監視システムに、乾燥度を定量的に追跡する指標を組み込むこと
- 土壌保全と水資源管理を改善し、限られた水を有効に活用すること
- 脆弱な地域社会のインフラ、農業、生活の多様化を通じて、気候変動に対するレジリエンス(しなやかな強さ)を高めること
大規模な気候政策やエネルギー転換に加え、地域レベルでの土地利用の見直しや、水を大切に使う生活スタイルの普及など、多層的な対応が必要になりそうです。
私たちはこのニュースをどう受け止めるか
乾燥化や砂漠化というと、遠い砂漠の話に聞こえるかもしれません。しかし、世界の陸地の4割以上が影響を受けているという事実は、食料価格の変動や国際的な移住、紛争リスクなどを通じて、日常生活ともつながるテーマです。
今回のCOP16で示された警告は、単に危機を煽るためのものではなく、これからの土地利用やエネルギー政策、国際協力のあり方を考え直すための材料だともいえます。長期的な視点で、どのような地球環境を次の世代に引き継ぐのか。乾燥化というキーワードは、その問いを私たちに静かに突きつけています。
Reference(s):
COP16 report warns three-quarters of global land 'permanently drier'
cgtn.com








