スリランカで野生のゾウ約50頭が感電死 無許可電気柵が深刻な問題に
スリランカで、野生のゾウが無許可の電気柵や電線によって相次いで感電死していることが明らかになりました。国の生物多様性を象徴する動物が、人間の活動によって追い詰められている現実は、国際ニュースとしても見過ごせない問題です。
スリランカで野生のゾウ約50頭が感電死
スリランカのセイロン電力庁(CEB)は月曜日、2025年これまでにおよそ50頭の野生のゾウが感電によって死亡したと明らかにしました。原因は、無許可の電気柵や電線などの設備によるものだとされています。
CEBによると、これらのゾウは同国の生物多様性を象徴する存在でありながら、こうした人間の活動によって絶滅の危険性が高まっていると警鐘を鳴らしています。
無許可の電気柵が生む見えない危険
電気柵や電線は、本来は人間の生活や財産を守るために用いられる手段です。しかし、設計や電圧管理、安全装置などが不十分なまま設置されると、野生動物にとって致命的な罠になりかねません。
許可を得ずに設置された電気柵や簡易な電線は、適切な基準に基づいていない場合が多く、強い電流が流れ続けてしまう恐れがあります。その結果、通りかかったゾウが感電し、そのまま命を落とすケースが相次いでいるとみられます。
生物多様性の象徴が直面する絶滅の危機
CEBは、野生のゾウを「国の生物多様性を象徴する存在」と位置づけ、人間の活動によってその存続が脅かされている現状に強い危機感を示しています。1年のうちに約50頭が失われたという事実は、個体数の減少だけでなく、生態系全体への影響も懸念される数字です。
野生動物の減少は、観光や文化など社会全体にも長期的な影響を及ぼします。それでもなお、人間の活動が優先される中で、野生のゾウは静かに生息地と命を奪われつつあります。
人間と野生動物の共存という課題
今回のスリランカのニュースは、特定の国だけの問題ではなく、人間と野生動物がどのように共存していくかという、世界共通の課題を映し出しています。電気柵などの設備は、人間の安全や生活を守るために必要とされる一方で、その設置や運用を誤れば、野生動物にとって深刻な脅威となります。
法律やルールに基づいた設備の管理、安全性の確保、そして野生動物の生息地や行動範囲を踏まえた土地利用のあり方など、見直すべき点は多くあります。単に危険だから排除するのではなく、人間と動物が同じ空間をどのように共有していくのかが問われています。
私たちがこのニュースから考えたいこと
日本に暮らす私たちにとって、スリランカの野生のゾウの感電死は遠い国の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、人間の活動が生態系に与える影響や、生物多様性をどう守るかという問いは、国境を越えて共通するテーマです。
今回のニュースは、次のような問いを投げかけています。
- 私たちはどこまで人間の利便性を優先し、どこから野生動物の生存権を尊重すべきなのか。
- 安全や経済発展と、生物多様性の保全を両立させるために、どのようなルールや技術が必要なのか。
- 日々の消費行動やエネルギーの使い方が、遠く離れた国の生態系にどんな形で影響しているのか。
スリランカで起きている野生のゾウの危機は、人間と自然の関係を静かに問い直すニュースでもあります。この問題をきっかけに、身近な地域での生物多様性や、人と動物の距離感について一度考えてみることが求められているのではないでしょうか。
Reference(s):
Around 50 wild elephants electrocuted this year in Sri Lanka
cgtn.com








