トランプ米大統領、再びパリ協定離脱へ 化石燃料重視の転換
米国のドナルド・トランプ大統領が、地球温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定からの離脱を命じる大統領令に署名しました。米国としては2度目の離脱となり、世界の気候変動対策とエネルギー政策に大きな波紋を広げています。
現地時間の月曜夜、パリ協定離脱を指示
米国大統領のトランプ氏は現地時間の月曜夜、パリ協定からの離脱を正式に指示する大統領令に署名しました。これにより、米国はパリ気候合意から再び離脱することになります。
署名式でトランプ氏は、前政権による気候変動関連の大統領令などについて「前政権による破壊的で過激な大統領令を約80本撤回する」と述べ、環境規制の大幅な見直しに踏み切る姿勢を鮮明にしました。
「エネルギー非常事態」を宣言 化石燃料の最大活用を強調
トランプ氏は演説の中で、長年再生可能エネルギーを「高コストで無駄が多い」と見なしてきた立場を改めて強調し、国内のエネルギーをめぐる「国家エネルギー非常事態」を宣言しました。
さらに、米国には「世界のどの製造業国家よりも多くの石油とガスがある」と主張し、「私たちはそれを使っていく」と発言。国内の埋蔵資源を最大限に活用し、石油・ガスの採掘と利用を一段と加速させる方針を示しました。
トランプ氏は「ドリル・ベイビー・ドリル(とにかく掘れ)」というフレーズを用い、化石燃料開発を前面に押し出す姿勢を象徴的に表現しました。
パリ協定とは何か
パリ協定は、気候変動を引き起こす温室効果ガスの排出を世界全体で減らしていくための国際的な枠組みです。各国が自主的な削減目標を掲げ、その達成状況を定期的に報告し合うことが柱となっています。
米国はこれまで、主要な排出国として、目標設定や技術協力などを通じて重要な役割を担ってきました。そんな米国が協定から離脱する動きは、国際社会の気候変動対策に少なからぬ影響を与えます。
なぜ「2度目の離脱」が重いのか
今回の大統領令は、米国がパリ協定から離脱する「2度目の決定」だとされています。これは、米国の気候政策が政権交代のたびに大きく揺れ動きうることを改めて印象づける出来事です。
国際的な気候枠組みは、本来であれば数十年単位で継続される長期的な取り組みです。その中で、世界の主要国が参加と離脱を繰り返すことになれば、他国の政策決定者や企業、投資家にとって先行きの不透明感が増し、長期的な対策や投資判断を難しくさせる可能性があります。
エネルギー政策の転換が突きつけるジレンマ
トランプ氏が掲げるのは、国内の石油・ガス産業を中心に据えたエネルギー政策です。化石燃料への依存を強めることで、短期的には雇用や産業活動を下支えしようとする狙いがうかがえます。
一方で、パリ協定が目指す脱炭素の流れとは逆行する形となるため、長期的には次のようなジレンマも想定されます。
- 世界市場で進む省エネ・再エネ技術の競争から取り残されるリスク
- 気候変動への対応を重視する他国とのあいだで、外交・経済面の摩擦が高まる可能性
- 企業や自治体など、独自に脱炭素を進める主体との政策ギャップ
こうした要素は、米国内だけでなく、エネルギー価格や投資の流れを通じて、世界経済にも波及する可能性があります。
日本と世界の読者への問い
今回のパリ協定離脱の動きは、国際ニュースとしてのインパクトが大きいだけでなく、「エネルギー安全保障」と「気候危機への対応」をどう両立させるかという、私たち自身の課題も浮かび上がらせます。
化石燃料に依存したまま短期的な利益を優先するのか、それとも再生可能エネルギーや省エネを軸にした長期的な転換を選ぶのか。米国の決定は、その選択を世界に改めて問いかける出来事となっています。
日本を含む各国が、こうした動きを踏まえてどのような気候・エネルギー戦略を描くのか。ニュースを追うだけでなく、自分の暮らしや仕事と結びつけて考えてみることが、これから一段と重要になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








