ロサンゼルス山火事で海はどうなる? 科学者たちの「時間との競争」
ロサンゼルスで続いた大規模な山火事が、いま海への影響という新たな問題を生んでいます。消火活動や復旧作業が続く一方で、研究者と当局は、陸で起きた火災が海にどのようなダメージを与えているのかを急いで見極めようとしています。
山火事の被害は陸だけで終わらない
今回のロサンゼルス周辺の山火事では、パリセイズ火災やイートン火災といった複数の火災が、数千棟に及ぶ住宅や店舗、自動車、電子機器などを焼き尽くしました。
一見すると「燃えてなくなった」ように見える日用品や建材ですが、その多くは灰となって残っています。この灰には、次のような有害物質が含まれているとされています。
- 農薬
- アスベスト
- プラスチック由来の成分
- 鉛などの重金属
- その他、さまざまな化学物質
こうした灰が風に乗って広範囲に拡散し、やがて雨とともに河川や下水を通じて海へと流れ込むことで、海洋環境への影響が懸念されています。
膨大な「有害物質」をいかに取り除くか
現地では現在、作業員のチームが、ロサンゼルスの山火事によって生じた有害物質を取り除く作業を進めています。その量は、数十万トン規模に達する可能性があるとみられています。
焼け残ったがれきだけでなく、灰や細かな粉じんも含めて回収しなければ、次の雨が降ったときに一気に流れ出し、沿岸の海へと運ばれてしまうおそれがあります。いま行われている撤去作業は、海への二次被害を少しでも減らすための、時間との競争でもあります。
科学者たちが調べていること
研究者や行政担当者は現在、海への影響を把握するために、さまざまな観測や分析を進めています。具体的には、次のような点が焦点になっています。
- 沿岸の海水中に含まれる鉛や重金属の濃度
- 海底の泥や砂にたまった灰や微粒子の状態
- プランクトンや魚介類など、生態系への影響の兆候
- 海水の透明度や栄養塩の変化など、水質全体の変化
重要なのは、火災前から存在していた都市由来の汚染と、今回の火災による追加的な汚染とを見分けることです。そのため、研究者たちはこれまでのデータと比較しながら、どこまでが山火事に起因する変化なのかを慎重に見極めようとしています。
「日常のもの」が一転して危険物に
今回のロサンゼルスの山火事の特徴のひとつは、山林だけでなく、多数の住宅街や商業地、駐車場など都市部のインフラが被害を受けた点です。
家電製品、家具、プラスチック製品、車の部品、建材、農薬や洗剤など、ふだんは生活を支える「日常のもの」が、火災の高温によって分解・変質し、危険な灰や煙となって残りました。
その灰が大量に蓄積すると、次のようなリスクが高まります。
- 沿岸部の海水や海底土壌の汚染
- 魚や貝などへの有害物質の蓄積
- 食物連鎖を通じた長期的な影響
- ビーチや観光資源への悪影響
つまり、山火事の被害は「燃えた場所」だけの問題ではなく、時間差で海や食卓、観光産業にも広がりうるということです。
日本にとっての問いかけ:都市と海のリスクをどう見るか
今回のロサンゼルスの事例は、日本にとっても他人事ではありません。日本の多くの大都市は海に面しており、沿岸に住宅地や工場、インフラが集中しています。
もし都市部で大規模な火災や事故が起きた場合、同じように、焼けた建材や日用品から発生した灰が海へ流れ込むリスクがあります。津波や洪水といった水害に注目が集まりがちですが、「火災」と「海洋汚染」のつながりにも目を向ける必要があるといえるでしょう。
「読みやすいけれど考えさせられる」視点
ロサンゼルスの山火事から海への影響を調べる今回の取り組みは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 都市のインフラや日常生活の便利さと、環境リスクのバランスをどうとるか
- 陸で起きた災害が、時間差で海や生態系に広がることをどこまで想定できるか
- 「復旧」が終わった後も続く、見えにくい環境へのダメージをどう監視し、減らしていくか
いまロサンゼルスで進む、科学者と当局の「時間との競争」は、世界の海と都市が抱える共通の課題を浮かび上がらせています。日本からこのニュースを追うことは、自分たちの足元にあるリスクと向き合うきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Scientists race to detect ocean damage sparked by LA wildfires
cgtn.com








