ハワイ州、ホテル税引き上げへ 気候変動対策に充てる新しい試み
米ハワイ州で、ホテルやバケーションレンタルなどの宿泊客にかかる税金を引き上げ、その増収分を気候変動対策に使う計画が進んでいます。観光地として知られるハワイが、気候危機への適応に宿泊税を直接ひもづけるのは、これまでにない動きです。
ハワイが検討する気候変動目的のホテル税
今回の計画では、ホテル、バケーションレンタル、その他の短期宿泊施設に滞在する旅行者に課される税金を引き上げ、その新たな税収を気候変動への備えに充てることが想定されています。州のリーダーたちは、この税を一般財源ではなく、あらかじめ気候関連の事業に使途を限定した目的税として位置づけようとしています。
観光業はハワイ経済の柱ですが、その豊かな自然環境は海面上昇や極端な気象など、気候変動の影響にさらされています。観光客の宿泊税を、そうしたリスクに備える資金源とする発想は、観光と環境保全の関係をあらためて問い直す試みでもあります。
税収はどんな気候変動対策に使われるのか
州の指導者たちは、増える税収を次のようなプロジェクトに充てる考えを示しています。
- 浸食が進むビーチでの砂の補充
- 住宅所有者が屋根にハリケーンクリップを取り付けるための支援
- 2023年にラハイナを壊滅させた致命的な山火事の燃料になったとされる外来種の草の除去
ビーチの浸食対策は、観光資源としての砂浜を守るだけでなく、高潮や波から沿岸部を防御する役割も果たします。屋根に取り付けるハリケーンクリップは、強風による被害を抑えるための金具で、住宅一軒ごとの備えを後押しする狙いがあります。
さらに、2023年のラハイナの大規模火災で燃え広がりの一因とされた外来種の草を撤去することは、今後の火災リスクを下げるとともに、地域の生態系を守ることにもつながります。こうした事業は、気候変動そのものを止める緩和策ではなく、被害をできるだけ小さくするための適応策と位置づけられます。
観光客が負担する「気候コスト」をどう考えるか
今回の動きは、だれが気候変動への備えの費用を負担すべきかという問いを、旅行者にも突きつけます。ハワイを訪れる人びとは、美しいビーチや自然環境の恩恵を受ける一方で、その保全と安全対策のための追加負担を求められる可能性があるからです。
制度が実現すれば、ハワイ旅行の総費用はこれまでよりわずかに高くなるかもしれません。しかし、その差額が侵食した砂浜の再生や、住宅の強化、火災リスクの低減に使われるのであれば、旅行者にとっても支払う意味のあるコストと感じられるのかどうかが、今後の議論の焦点になりそうです。
ハワイ発の試みが示すこれからの課題
気候変動の影響が現実のものとなるなかで、観光地は守るべき環境とそのための財源を同時に確保しなければならなくなっています。宿泊税を活用して適応策を進めようとするハワイの試みは、世界の観光地にとって一つのモデルケースとして注目される可能性があります。
日本を含む多くの地域でも、豪雨や台風、海岸侵食などのリスクが高まるなか、観光や地域経済の仕組みと気候変動対策をどう結びつけていくかが問われています。ハワイの動きは、気候危機のコストをだれが、どのような形で負担していくのかという大きなテーマを私たちに投げかけています。
ハワイのホテル税という一見ローカルなニュースの背景には、地球規模の課題があります。これから旅行を計画するとき、行き先の自然環境がどのように守られ、その費用をだれが支えているのかに目を向けてみることが、気候時代の新しい旅行スタイルにつながるかもしれません。
Reference(s):
Hawaii plans to increase hotel tax to help cope with climate change
cgtn.com








