カリブ海に記録的サルガッソウ 観光と野生生物を直撃
カリブ海とその周辺地域で、褐色のトゲのある海藻サルガッソウが2025年5月に記録的な量で漂着し、観光や野生生物、地域の暮らしに深刻な影響を与えています。新たな報告書によると、当時は翌月以降もさらなる漂着が見込まれていました。
カリブ海沿岸に積み上がる「褐色の壁」
報告によれば、サルガッソウは2025年5月、カリブ海とその近くの広い範囲で「記録的な量」に達しました。海面を漂っていたサルガッソウが風や潮の流れで押し寄せ、浜辺に大量に打ち上げられたことで、沿岸部は茶色い海藻の「壁」に覆われた形になっています。
こうした状況は、単なる景観の悪化にとどまりません。海岸の清掃コストがかさみ、地元自治体や住民の負担も増えているとみられます。
プエルトリコからガイアナまで 観光へのダメージ
このサルガッソウの漂着は、プエルトリコから南米北岸のガイアナに至るまで、広い範囲の海岸線を「窒息」させているとされています。ビーチが海藻で覆われることで、海水浴やマリンレジャーが難しくなり、観光業が混乱しています。
観光は多くのカリブ海諸国・地域にとって重要な収入源です。その中核となるビーチの魅力が損なわれれば、宿泊や飲食、交通など関連産業にも波及します。今回のサルガッソウ漂着は、自然環境の変化が地域経済と直結していることを改めて示した形です。
野生生物への影響と「有毒ガス」の懸念
報告では、サルガッソウによって野生生物が死に至るケースも確認されています。海藻が厚く積もると、沿岸の水中に光や酸素が届きにくくなり、魚や他の生き物の生息環境が悪化します。また、打ち上げられたサルガッソウが浜辺で腐敗すると、強い臭いだけでなく有毒なガスが発生するおそれがあります。
フランス領カリブ海のマルティニーク島では、サルガッソウから発生した有毒ガスが原因となり、島内の学校が一時的に閉鎖されたとされています。教育現場が止まるほどの影響が出ていることは、沿岸地域の暮らしにとってこの問題が決して小さくないことを物語っています。
「今年の出来事」として日本からどう見るか
今回のサルガッソウ問題は、2025年にカリブ海で起きた環境ニュースであると同時に、「海の変化」が社会や経済にどのように影響するのかを考える材料にもなります。海沿いの観光に依存する地域では、自然環境の変化がそのまま生活や雇用の不安定さにつながりかねません。
日本でも沿岸部の赤潮や漂着ごみなど、海の環境変化が地域社会に影響を与える事例は少なくありません。遠く離れたカリブ海のニュースですが、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 海の環境変化に、観光や地域経済はどのように備えられるのか
- 異変の兆しを早くつかみ、被害を抑える仕組みをどう作るのか
- 国や地域を超えて、海洋環境の問題をどう共有し、連携できるのか
2025年5月のカリブ海での記録的なサルガッソウ漂着は、海と共に生きる地域が直面する課題を象徴的に映し出しています。日々のニュースとして追うだけでなく、自分たちの足元の海や暮らしとのつながりを考えるきっかけにしたい出来事です。
Reference(s):
cgtn.com








