世界の海の3分の1超で乱獲続く FAOが最新報告
国連食糧農業機関(FAO)は、国連海洋会議で最新の報告書『世界の海洋漁業資源の状況レビュー2025』を発表し、世界の海の魚資源の35.5%が依然として乱獲状態にあると明らかにしました。本記事では、この国際ニュースのポイントを日本語で分かりやすく整理します。
世界の海の3分の1超が乱獲状態
FAOの報告によると、世界の海洋魚資源の状況は次のように整理されています。
- 生物学的に持続可能な範囲で利用されている魚資源:64.5%
- 乱獲(過剰漁獲)の状態にある魚資源:35.5%
FAOは、近年、世界全体の乱獲の割合が年間およそ1ポイントずつ増加していると指摘しています。つまり、部分的な改善が見られる地域がある一方で、世界全体としてみると、海洋資源のプレッシャーは依然として高まっているということです。
ここでいう「生物学的に持続可能」とは、魚が自然に再生・回復できるペースを超えない範囲で、漁獲が行われている状態を指します。これが崩れると、資源量が減り続け、将来的には漁業そのものが成り立たなくなるリスクがあります。
地域ごとの明暗 太平洋と南極は健全、他地域は課題
今回の海洋資源に関する国際ニュースで特徴的なのは、地域ごとの差がはっきりと示された点です。報告書による主な地域別の状況は次の通りです。
- 北東太平洋:持続可能な資源の割合が92.7%
- 南西太平洋:85%が持続可能な範囲で利用
- 南東太平洋:持続可能なのは46%にとどまる
- 東中部大西洋:持続可能な割合は47.4%
- 南極海域:評価対象となった魚資源は100%が持続可能と報告
FAOは、長期的で科学的な根拠にもとづく漁業管理に取り組んできた地域では、資源の持続可能性が高い傾向にあるとしています。北東太平洋や南西太平洋、そして南極海域の数字は、その成果を示す一例といえます。
一方で、南東太平洋や東中部大西洋では、持続可能な範囲で利用されている魚資源が半分前後にとどまり、資源管理の面で課題が残っていることが浮き彫りになりました。
FAOトップ「有効な管理が最も強力なツール」
FAOの屈冬玉(Qu Dongyu)事務局長は、報告書の発表に合わせて、次のように強調しました。
有効な管理は、漁業資源を守る最も強力な手段である。このレビューは、これまでにない包括的な理解を提供し、データにもとづく意思決定を可能にする。この報告書によって、各国政府は政策を設計し、一貫性のある形で調整するための証拠を得ることができる。
今回のレビューには、92の国と地域から650人を超える専門家が参加し、世界全体で2,570の魚資源が評価されました。広範なデータと専門家ネットワークにもとづいてまとめられたことから、海洋資源のグローバルな「健康診断」としての位置づけが強まっています。
日本の食卓とビジネスにとっての意味
魚は、多くの国と地域にとって重要なたんぱく源であり、経済や雇用を支える産業でもあります。海洋資源が乱獲で弱れば、次のような影響が出る可能性があります。
- 水産物の価格の不安定化や高騰
- 水揚げ量の減少による漁業者の収入悪化
- 沿岸コミュニティの雇用・地域経済への打撃
日本語で国際ニュースを追う読者にとって、このFAO報告は、単なる環境問題ではなく、食文化やビジネス、そして将来の暮らし方にも関わるテーマとして受け止める必要がありそうです。
私たちにできることは何か
海洋資源の持続可能性を高めるには、政府や企業だけでなく、消費者の行動も重要です。FAO報告は政策決定者向けの色合いが強い内容ですが、そこから一般の私たちが読み取れるポイントもあります。
政府・業界レベルで求められること
- 科学データにもとづく長期的な漁獲管理計画の導入・強化
- 資源評価やモニタリング体制への継続的な投資
- 違法・無報告・無規制の漁業への対策強化
- 資源状態が改善した地域の事例を共有し、国際協力を進めること
市民レベルでできる小さなアクション
- 持続可能な漁業に配慮した認証ラベルなどに関心を持つ
- 魚を無駄にしない買い方・食べ方で、食品ロスを減らす
- 海洋資源や環境に関するニュースを共有し、周囲と議論する
こうした行動は1つ1つは小さく見えますが、多くの人が意識を少しずつ変えることで、市場や政策の方向性に影響を与えることができます。
「読みやすいのに考えさせられる」テーマとして
今回のFAO報告は、数字だけを見るとやや厳しい現状を示していますが、同時に、北東太平洋や南極海域など、適切な管理によって高い持続可能性を実現している地域があることも示しました。
つまり、海洋資源の未来は、私たちの選択と政策次第で変えられるというメッセージでもあります。国際ニュースを日本語でフォローする読者にとって、この報告は、環境・食・経済がどのようにつながっているかを考えるきっかけになるでしょう。
通勤時間の数分で読み終えられるニュースであっても、そこで得た視点が、日常の会話やSNSでのシェアを通じて、じわりと社会全体の認識を変えていく。その一歩として、世界の海で今何が起きているのかを、これからも丁寧に追っていきたいところです。
Reference(s):
Over one third of global marine fish stocks still overfished, FAO says
cgtn.com








