砂漠の寄生植物デザート人参が新疆で砂漠化と闘う理由 video poster
砂漠の奥深くで育つ寄生植物シスタンチ、通称デザート人参が、砂丘を守りながら地元の暮らしを支える――2025年の今、中国・新疆ウイグル自治区で進むユニークな砂漠化対策が注目されています。
世界砂漠化・干ばつと闘う日という国際的な記念日に合わせて、中国のメディアCGTNの記者Liu Xiaoxianさんは、新疆ウイグル自治区の動く砂丘の奥へと入り、このデザート人参をめぐる最新の取り組みを取材しました。砂の研究ラボから大規模な栽培地まで、一本の根がどのように砂漠の景色と人びとの暮らしを変えつつあるのかを追いました。
世界砂漠化・干ばつと闘う日に見えた新疆の現場
砂漠化と干ばつは、2025年の今も世界各地で進行している環境課題です。中国の新疆ウイグル自治区も、広大な砂漠と乾燥した気候に悩まされてきました。砂丘は風に運ばれて移動し、ときに農地や集落に迫ります。
こうした状況の中で注目されているのが、砂漠に自生する一つの植物です。見た目は地味なその植物が、砂を固定し、緑を増やし、さらに新たな産業を生み出す可能性を秘めているといわれています。
寄生植物シスタンチとデザート人参
現地で「砂漠の薬草」として知られるシスタンチは、砂漠に生きる寄生植物です。他の植物の根に寄生して養分と水分を得ながら、自らも厳しい環境の中で育ちます。この特性が、砂漠での栽培を難しくする一方で、ユニークな活用法を生み出しています。
古い薬草の知恵とつながる
シスタンチは、古くから薬草として利用されてきたとされる植物で、英語ではデザート人参(desert ginseng)とも呼ばれます。砂漠の過酷な環境で力強く育つ姿が、人の健康を支える根のイメージと重なるからかもしれません。
こうした古い薬草の知恵と、砂漠化対策という現代的な課題が結びついたことで、シスタンチは環境と経済の両面から再評価されつつあります。
砂漠のラボからプランテーションへ
Liu Xiaoxianさんがまず訪れたのは、砂漠の中に設けられた研究用の施設です。研究者たちは、シスタンチがどのような条件で最もよく育つのか、どの植物を「宿主」としたときに安定して栽培できるのかなど、基礎的なデータを集めています。
実験で見えてきた栽培の条件
砂や土の性質、水の与え方、植える間隔など、細かな条件を少しずつ変えながら生育の違いを観察することで、砂漠という厳しい環境でも無理なく育てられる方法が探られています。
こうした地道な実験が積み重なった結果、シスタンチを計画的に栽培する技術が少しずつ確立され、大規模なプランテーションへとつながってきました。
大規模栽培が生む風景の変化
プランテーションでは、砂丘の上に一定の間隔で植物が植えられ、そこにシスタンチが寄生する形で育てられます。根が張ることで砂が固定され、風による砂の移動が抑えられます。以前は何もなかった砂の丘が、少しずつ生命感のある風景へと変わっていきます。
砂漠化対策と新たな収入源を両立
デザート人参として注目されるシスタンチは、環境保全だけでなく、地元の人びとにとっての収入源にもなりつつあります。栽培や収穫、選別や加工など、さまざまな工程で仕事が生まれるからです。
- 砂丘を固定し、砂漠化の進行を抑える
- 薬草としての価値を活かし、商品として販売できる
- 栽培や加工を通じて、地域に雇用と所得を生み出す
砂漠を「利用しながら守る」この発想は、従来の「砂漠をただ緑化する」という発想と少し違います。環境と暮らしのどちらかを選ぶのではなく、両立させる道を探る取り組みといえます。
一本の根から考える、これからの砂漠との付き合い方
現在進められているシスタンチの栽培は、まだ発展途上の取り組みだといえます。それでも、砂漠に生きる一つの植物を手がかりに、砂漠化対策と地域の暮らしを同時に考えようとする発想は、多くの示唆を与えてくれます。
世界のどこであっても、環境問題への解決策は、その土地の自然と文化に根ざした形でなければ長続きしません。新疆ウイグル自治区で進むデザート人参のプロジェクトは、一つの根から始まる小さな変化が、砂漠の未来を少しずつ変える力になりうると教えてくれます。
砂漠の中で静かに広がるこの実験的な取り組みは、2025年の今を生きる私たちが、環境と経済のバランスをどのように取っていくのかを考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
The desert ginseng: Fighting desertification one root at a time
cgtn.com








