米連邦政府の一部閉鎖で環境監視が停止危機 EPA職員の9割が休職に video poster
2025年12月現在、米国では連邦政府の一部閉鎖が続いており、環境分野の重要なプログラムが相次いで止まるおそれがあると報じられています。環境保護庁(EPA)の業務縮小により、大気や水質の汚染監視、化学物質の検査、災害対応が大きな打撃を受ける可能性が指摘されています。
何が起きているのか:政府閉鎖とEPAの機能不全
米連邦政府の一部閉鎖により、環境政策を担うEPAが深刻な人員不足に直面しています。情報によると、EPA職員の約9割が一時休職(furlough)を迫られており、通常業務の多くが事実上ストップする状態になっています。
その結果、次のような「見えない安全網」が機能不全に陥るおそれがあります。
- 工場や発電所などからの大気汚染の監視
- 有害な化学物質に関する検査・規制の実務
- 環境汚染を伴う災害が起きた際の専門的な対応支援
これらは目立ちにくいものの、市民の健康や地域の安全を日常的に支えている基盤的な業務です。人員が大幅に削減されれば、異常値の見落としや対応の遅れにつながりかねません。
元EPA職員らのネットワークが警鐘
中国国際電視台(CGTN)の単独インタビューに応じたのは、元EPA職員らが立ち上げた非営利団体「環境保護ネットワーク(Environmental Protection Network)」のシニアアドバイザーです。
このアドバイザーは、EPAの機能が止まることで、有害物質の排出や水質汚染がチェックされないまま放置されるリスクが高まると警告しました。特に、工業地帯や人口の集中する地域では、濃度の高い有毒物質が長期間にわたって監視されない可能性があり、数百万人規模の米国民の健康に影響が出るおそれがあるとしています。
EPAは日常的に、排煙や排水、飲料水の安全基準を監視し、違反があれば是正を求める役割を担っています。その「最後の砦」が機能しなくなれば、汚染が進行しても誰も気づかないまま時間だけが過ぎるという、最悪のシナリオも現実味を帯びてきます。
止まる環境プログラム、その波及効果
環境プログラムの停止は、単に「環境問題」にとどまりません。健康被害のリスクだけでなく、経済や地域社会にも影響が及ぶ可能性があります。
- 健康への影響:大気汚染の悪化は、呼吸器疾患や心疾患の増加につながる可能性があります。安全性が確認されない水道水への不安も高まります。
- 企業活動への影響:検査や許認可の遅延は、企業の投資計画や操業スケジュールにも影響を与えかねません。
- 地域社会の不安:災害時に環境面の専門的な支援が得にくくなれば、住民の避難や復旧にも遅れが生じるおそれがあります。
平時には意識されにくい行政サービスほど、止まった時の影響は大きくなりやすいことが浮き彫りになっています。
日本の読者にとっての意味:環境行政の「見えない価値」
今回の米国の事例は、環境政策や行政の役割を考えるうえで、日本の読者にとっても示唆に富んでいます。大気や水質の監視、化学物質の検査、災害時の環境対応といった地味な行政サービスは、問題が起きないほど存在感が薄くなりがちです。
しかし、元EPA職員らが警鐘を鳴らすように、その仕組みが止まったときにはじめて、その重要性が浮き彫りになります。環境行政は、経済成長や政治対立とは別の次元で、市民の日常と健康を支える長期的なインフラともいえます。
これから注視したいポイント
米国の政府閉鎖と環境政策をめぐって、今後注目したいポイントは次の通りです。
- EPAの業務がどの範囲まで継続できるのか、あるいは停止するのか
- 汚染監視や災害対応にどの程度の遅れや空白が生じるのか
- 元EPA職員らのネットワークのような専門家グループが、どのように情報発信や監視役を担うのか
米国で起きている環境政策の揺らぎは、世界最大級の経済圏の一つで安全基準が緩むことを意味し、国際的なサプライチェーンや地球環境にも間接的な影響を与えうる問題です。日本からも、国際ニュースとして継続的にフォローする価値があるテーマだといえるでしょう。
Reference(s):
U.S. environmental programs halted under government shutdown
cgtn.com








