APECと生物多様性 フィリピンメガネザルが映す森と経済
APEC首脳会議と小さな主役 フィリピンメガネザル
2025年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の開催地は、韓国の慶州でした。21のAPEC参加エコノミーが経済協力を話し合うこの枠組みでは、各地域の文化や暮らしに光を当てる取り組みも行われています。
そうした文脈の中で紹介されているのが、フィリピンの熱帯雨林に暮らすフィリピンメガネザル(Philippine tarsier)です。世界でも最も小さい霊長類の一つとされるこの動物は、アジア太平洋地域の自然の豊かさと、その保護の必要性を象徴する存在として注目されています。
世界でも最小クラスの霊長類 大きな目が物語るもの
フィリピンメガネザルは、フィリピンの保護対象種であり、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストではNear Threatened、絶滅の危険が高まりつつある種として位置づけられています。
体のサイズに比べて驚くほど大きな目を持ち、夜間の視力に優れていることが特徴です。鬱蒼とした熱帯雨林をすみかとしていることから、少ない光の中でも周囲を見渡せる視力が、生き延びるための重要な能力になっていると考えられます。
ボホールのフィリピン・ターシャー・サンクチュアリ
この貴重な生き物を守るために、フィリピンは保全の取り組みを強化してきました。その一つが、ボホールに設けられたフィリピン・ターシャー・サンクチュアリです。
サンクチュアリは、フィリピンメガネザルの保存と保護を目的とした拠点として整備されました。こうした保護区は、一般的に、生息環境を守るだけでなく、研究や環境教育の場としても活用されます。どのように人の活動と野生生物の暮らしを両立させるかを考える、具体的なモデルにもなりえます。
経済と自然保護をどうつなぐか
APECのような地域協力の枠組みは、経済成長をテーマにしつつも、その土台となる自然環境や社会のあり方を考えるきっかけにもなります。森に暮らす一匹の小さな霊長類の物語は、アジア太平洋の経済やライフスタイルと、どこかで必ずつながっています。
経済活動の拡大は、多くの人にとって生活を豊かにする一方で、自然環境への負荷を高める側面もあります。そのバランスをどう取るのかという問いは、APEC参加エコノミーだけでなく、私たち一人ひとりにも突きつけられています。
私たちにできる身近なアクション
- ニュースやドキュメンタリーを通じて、生物多様性や環境保護について学ぶ
- 自然や野生動物をテーマにした取り組みを、SNSでシェアして関心の輪を広げる
- 日々の消費や移動のスタイルを見直し、環境への負荷を減らす行動を選ぶ
小さな目が見つめるアジア太平洋の未来
フィリピンメガネザルは、とても小さな霊長類ですが、その存在は、アジア太平洋の森と人間社会の関係を静かに映し出しています。
経済協力を語る国際会議の裏側で、各地の森や海、そこで暮らす生き物たちはどのような変化に直面しているのか。APECという枠組みをきっかけに、そうした問いを日常の会話やSNSで共有していくことが、フィリピンの森の奥で暮らすこの小さな動物を守ることにもつながっていくはずです。
Reference(s):
APEC Stories: Meet the Philippine tarsier, resident of the rainforest
cgtn.com








