ベトナムで自然災害被害が約39億ドル 2025年、暴風雨21件で過去最多
2025年のベトナムでは、台風や熱帯低気圧などの自然災害によって、今年これまでに約97兆ドン(約39億ドル)の経済損失が発生し、409人が死亡または行方不明となっています。
この数字は、ベトナム農業・環境省のデータとして、ベトナム通信社が木曜日に伝えたものです。2025年12月上旬時点での集計で、自然災害が同国の暮らしと経済に深刻な影響を与えていることが浮き彫りになりました。
経済損失97兆ドンという規模
ベトナム農業・環境省によると、2025年1〜11月に国内で発生した自然災害による経済損失は推計97兆ベトナムドンに達しました。米ドル換算で約39億ドルにのぼる被害は、同国の経済にとって小さくない打撃であり、公共インフラや企業活動、住民の生活にも重くのしかかっています。
自然災害の被害額は単なる金額以上の意味を持ちます。復旧には多くの時間と労力が必要であり、その間に教育や医療、長期的な投資といった分野への余力が削がれる可能性があります。今回示された97兆ドンという規模は、ベトナムにおける防災・減災の重要性をあらためて突きつけるものだといえます。
暴風雨と熱帯低気圧は21件で過去最多
同省によれば、2025年の最初の11カ月間に、ベトナムでは台風や熱帯低気圧が合計21件発生しました。これは、2017年の過去最多記録だった20件を上回るもので、統計上も異例の多さとなっています。
こうした暴風雨や熱帯低気圧の影響により、2025年だけで少なくとも409人が死亡または行方不明となりました。数字だけを見ると実感が湧きにくいかもしれませんが、その背後には、家族を突然失った人々や、住まいと仕事の両方を一度に奪われた人々の現実が広がっています。
記録的な件数と人的被害が同時に報告されていることは、今後も同様の規模、あるいはそれ以上の自然災害が起こり得るという前提で備えを考える必要があることを示唆しています。
中央部で続く警戒 フラッシュ洪水と地滑りのリスク
ベトナム当局は、今月も各地で大雨が予想されていることから、特に中部の省を中心に、フラッシュ洪水(急激な洪水)や地滑りへの警戒を続けるよう呼びかけています。
短時間に激しい雨が降ると、山沿いや河川近くでは水位が一気に上昇し、避難の時間的な余裕がほとんどないまま被害が拡大するおそれがあります。地滑りが発生すれば、道路や橋が寸断され、救助や物資輸送にも支障が出る可能性があります。
当局は、住民に対して最新の気象情報をこまめに確認し、危険が高まった場合には早めの避難を行うよう注意を促しています。2025年にここまで大きな被害が出ていることを考えれば、小さな異変でも軽視しない姿勢が求められているといえます。
日本の読者にとっての意味 東南アジアの災害リスクをどう見るか
今回のベトナムの自然災害による被害は、東南アジア地域が自然災害の影響を受けやすいことをあらためて印象づける出来事です。日本もまた台風や豪雨、地震などに頻繁に見舞われる国であり、災害と共に暮らすという点ではベトナムと共通する課題を抱えています。
日本からベトナムに出張や旅行をする人や、現地に生産拠点やビジネスパートナーを持つ企業にとって、自然災害リスクは決して他人事ではありません。現地のインフラやサプライチェーン(供給網)が災害の影響を受ければ、日本国内のビジネスや生活にも間接的な影響が波及する可能性があります。
ニュースを追う際には、被害の規模や死者・行方不明者の数だけでなく、東南アジアと日本のつながりや、自分の生活や仕事にどう関わるのかという視点を持つことで、見えてくるものが変わってきます。
私たちが考えたい3つの視点
今回のベトナムの自然災害に関する報道から、私たちは次のような問いを自分ごととして考えることができます。
- 巨大災害が起きたとき、自分の生活や仕事のどの部分が最も脆弱になるのか
- 企業や行政任せにせず、一人ひとりが平時からどのような備えをしておくべきか
- 災害が頻発する国や地域と、どのように連帯し、支え合うことができるのか
ベトナムの被害は、地理的には遠い出来事のように見えるかもしれません。しかし、自然災害の頻発という文脈では、日本社会が向き合っている現実と重なり合う部分が少なくありません。2025年に記録的な被害が報告された今こそ、東南アジアと日本それぞれの防災・減災の取り組みを見つめ直し、自分自身の備えや視点を更新していくタイミングと言えそうです。
Reference(s):
Natural disasters cause nearly $3.9 billion in losses in Vietnam
cgtn.com








