2025年の海洋熱が観測史上最大に、上層2000mで記録更新—国際研究
世界の海が「どれだけ熱をため込んだか」を示す指標で、2025年が観測史上最大を更新した――。2026年1月9日に学術誌『Advances in Atmospheric Sciences』に掲載された国際研究が、海の温暖化が止まっていない現実を改めて示しました。
研究が示した結論:「海が吸収した熱」が過去最大
研究によると、2025年に海洋が増加させた熱量は23ゼタジュールに達しました。ゼタジュール(ZJ)は10の21乗ジュールという非常に大きな単位で、研究ではこの増加分を「2023年水準の世界のエネルギー消費約37年分に相当」と表現しています。
分析は、世界31の研究機関から50人超の科学者が参加する共同研究として行われ、アジア、欧州、南北米の主要センターや独立研究グループのデータを統合。特に海面から深さ2,000メートルまでの海洋熱含量が2025年に最高値へ達し、長期的な上昇傾向が「明確で持続的」だと結論づけました。
数字で見る:2025年の海の“熱”の偏り
- 世界の海の約16%:2025年に「観測史上最高」の熱
- 追加で約33%:各海域の記録で「上位3番目以内」の高温
- 特に温まり方が速かった海域:熱帯〜南大西洋、北太平洋、南大洋
同じ「海の温暖化」でも、地図に落として見ると一様ではなく、熱のたまりやすい“ホットスポット”が広がっている様子が浮かびます。
表層は「3番目に暑い年」でも、深層は記録を更新
興味深いのは、海面水温(海の表面に近い温度)と、海全体が蓄えた熱の見え方が少し違う点です。
研究では、2025年の世界平均の海面水温は観測史上3番目の高さで、近年の基準より約0.5℃高い状態が続いた一方、2023年・2024年のピークよりはわずかに低かったとされています。
それでも、深い層を含めた「海が抱え込んだ熱」は新記録。海は大気よりもはるかに大きな熱容量を持つため、表層の上下だけでは捉えにくい“蓄熱”が進むと、影響は長く尾を引きます。
極端気象の背景にある「海の熱」と「水蒸気」
海面付近の高温は、蒸発を増やし、大気中の水蒸気量を押し上げます。研究は、こうした条件が2025年の極端気象を強めた要因になったと指摘し、例として東南アジアとメキシコの深刻な洪水、中東の干ばつを挙げています。
水蒸気は強い雨の“材料”でもあり、同時に大気に熱も運びます。結果として、豪雨の激化や、嵐などの極端現象が起きやすい環境が整いやすくなります。
この先の焦点:海面上昇、海洋熱波、そして「記録更新が続く」可能性
研究は、海洋の継続的な蓄熱が次のような影響をもたらすと警告します。
- 海面上昇:海水が温まって膨張する「熱膨張」によって押し上げられる
- 海洋熱波の悪化・長期化:海の生態系や漁業などに影響しうる
- 大気への熱と水分の供給増:嵐や極端気象を強める条件になりうる
そして科学者たちは、「地球全体が熱をため込み続ける限り、海洋熱の記録更新は続く」と強調します。気温の数字だけでは見えにくい“地球の熱収支”を、海が静かに映し出している――そんな読み取り方もできそうです。
2026年に入った今、次に注目されるのは、海のどの地域で高温が固定化していくのか、そしてその変化が降水や台風・ハリケーンなどの振る舞いにどんな形で現れてくるのか。海の熱は、私たちの天気図の裏側にある「ゆっくり動く主役」なのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








