IMO事務総長「中国の海事分野の存在感は今後さらに増す」2026年の優先課題も提示
国連の専門機関である国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務総長が、海運分野で中国の関与が今後いっそう重要になるとの認識を示しました。IMOが2026年に向けて安全保障から脱炭素まで幅広い議題を抱えるなか、議論の“現場感”を左右するプレーヤーとして注目が集まっています。
ロンドン本部での会見で何が語られたのか
ドミンゲス事務総長は現地時間23日(金)、ロンドンのIMO本部で記者会見を開き、2026年の業務優先事項を説明しました。質疑応答で中国について問われると、IMOの活動において中国が積極的なメンバーであり、今後も重要な役割を果たすと述べました。
「世界最大の港湾」「最大の造船国」——議論の前提になる規模
会見では、中国が世界最大の港湾運営を担い、現在は最大の造船国である点に言及がありました。こうした規模の大きさは、国際海運のルールづくりにおいて、次のような論点を現実的なものにします。
- 技術開発:新しい船舶技術や運航の高度化が、基準やガイドラインに反映されやすい
- グリーン化(環境負荷の低減):脱炭素に向けた取り組みが、国際的な目標設計と整合するかが焦点になる
- 効率化:安全・保安、船と港の連携(入出港・荷役など)での実務情報が政策議論の材料になる
事務総長は、これらの動きがIMOのプロセスにとって「重要な情報」になるとの考えを示しました。
合意形成のカギとしての「関与」
IMOでは、加盟国・地域の合意(コンセンサス)が意思決定の要になります。ドミンゲス事務総長は、中国が他の加盟国・地域と幅広く関与することが、議題ごとの合意形成にとって重要だと説明しました。
また、中国の関係組織の参加について「関連性が非常に高く、増している」とし、議題が重いのは2026年だけでなく今後数年も続くとの見通しに触れました。
IMOが2026年に掲げる4つの優先事項
会見で示された、IMOの2026年の主な優先事項は次の通りです。
- 海上の安全と保安(事故防止、脅威への備えなど)
- 国際海運の脱炭素化の加速(温室効果ガス削減に向けた枠組み)
- デジタル化とスマートシッピング(運航・手続きの高度化)
- 船員の福祉と権利の改善(労働環境や権利保護)
背景:IMOとは何をする機関か
IMOは、船舶の安全・保安の確保、そして船舶による海洋・大気汚染の防止を担う国連の専門機関です。加盟は現在176。中国は1989年以降、IMO理事会のカテゴリーAメンバー(海運に特に利害関係が大きい主要国・地域)として参加しています。
いま注目されるポイント(見落としにくい整理)
- 脱炭素は「目標」だけでなく「実装」が問われる段階に入り、港湾・造船・運航の一体で議論が進みやすい
- デジタル化は利便性の裏で標準化が必要になり、主要プレーヤーの運用知見がルール設計に影響しやすい
- 船員の福祉はサプライチェーンの安定とも結びつき、各国・地域が“現実的な改善策”を持ち寄れるかが焦点になる
2026年は、海運の「安全」「環境」「働き方」「デジタル」が同時進行で動く年になりそうです。規模の大きいプレーヤーの参加が、議論の速度と着地点の両方に影響を与える——今回の発言は、その構図をあらためて示した形です。
Reference(s):
IMO chief says China's influence in maritime sector will grow
cgtn.com







