北京でアジア初のジュラ紀両生類の足跡化石、1600万年前の生態に光
北京で見つかったわずか2つの小さな足跡が、アジアで初めて「ジュラ紀の両生類の足跡化石」として科学的に報告されました。恐竜中心だった地域の“足跡史”を塗り替える発見として注目されています。
何が見つかった?――道路脇の斜面に残っていた「2つの足跡」
研究チームが報告したのは、北京・門頭溝区の龍泉鎮(ロンチュエン)で見つかった、1枚の岩板上に保存された2つの足跡化石です。前肢と後肢が連続して刻まれた「前後肢のペア」とみられ、同じ個体が歩行中に残した可能性が高いとされています。
発見地点は道路脇の斜面で、地層は中期ジュラ紀の堆積物(約1億6000万年前)にあたります。研究成果は足跡化石の専門誌「Ichnos」にオンライン公開されました。
サイズは“指先”級――手のひら痕はわずか1.5cm
2つの印象のうち、保存状態が良好だったものは「左前足」と判定されました。特徴は、扇形に広がる輪郭と、細く尖った4本の指。手のひら痕は長さ約1.5cm、幅約1.3cmと非常に小さく、肉眼では見落としそうなスケールです。
3Dモデルで“微細な起伏”まで可視化、サンショウウオ類の可能性
研究では、微細な形状を読み取るためにデジタル技術を活用しました。フォトグラメトリ(写真測量)による3Dモデリングで高精度のデジタルモデルを作成し、表面のわずかな凹凸まで可視化。形態比較と、骨格と足跡の対応関係を数量的に検討する分析を経て、足跡の主は「サンショウウオ亜目」に近い両生類だった可能性が高いと結論づけています。
なぜ重要?――アジアの“空白”を埋め、北京の生態系像を更新
研究を主導した中国の研究者らは、今回が「中国およびアジアで初めて、ジュラ紀地層から両生類の足跡化石が発見され、科学的に記載された例」だとしています。これまで北京周辺のジュラ紀の脊椎動物の足跡記録は、恐竜やカメが中心で、両生類は報告がありませんでした。
この足跡は、中期ジュラ紀の「湖沼〜湿地」環境に、小型で陸上適応した両生類のグループが生息していたことを示す手がかりになります。周囲にはシダ類、イチョウ類、ソテツ類が豊富だったとされ、複数の生物が関わる複雑な生態系が形づくられていた可能性が浮かび上がります。
最初の発見者は小学生――2025年初頭の“見つける力”
印象的なのは、この化石を最初に見つけたのが北京の小学生、倪景辰(ニー・ジンチェン)さんだという点です。化石好きの児童が2025年初頭、門頭溝での探索中に岩場の斜面で発見したとされています。
研究者は、この出来事を「市民参加による古生物学的発見」の象徴として紹介しています。大きな骨格化石だけでなく、周囲の岩に残る“かすかな痕跡”が、地球史の重要なページを開くことがある――そんな現実味を、今回の事例は静かに伝えています。
今回の発見(要点)
- 北京の中期ジュラ紀地層(約1億6000万年前)から両生類の足跡化石を報告
- アジアで初のジュラ紀両生類トラック(足跡化石)として科学的に記載
- 3Dモデリングなどデジタル技術で微細形状を解析
- 足跡の主はサンショウウオ類に近い可能性
- 2025年初頭に小学生の化石愛好家が最初に発見
恐竜の影に隠れがちな「小さな生き物の痕跡」こそ、当時の暮らしぶりや環境の輪郭をくっきりさせる――。北京の岩の上に残った数センチの足跡は、そんな研究の面白さを改めて示しています。
Reference(s):
First amphibian footprints from Jurassic of Asia discovered in Beijing
cgtn.com








