モロッコ北西部洪水、住民が段階的帰還へ ケサール・エル・ケビールで規制緩和
モロッコ北西部で洪水が引き始め、避難していた住民の帰還が2026年2月中旬から段階的に進み始めました。 当局は安全確認を前提に、主要都市ケサール・エル・ケビールなどで帰宅を認める動きを広げています。
住民の帰還が始まった理由:天候の改善と水位低下
モロッコ当局は、北西部の洪水被災地域で天候が改善したことを受け、住民の「段階的な帰還」の調整を開始しました。現地では軍も支援に入り、避難・移動の手配が続いています。
内務省は2月16日(現地時間、月曜)、ラバトの北約213kmに位置するケサール・エル・ケビールについて、一部の地区を除いて多くの住民が帰宅できるようになったとしています。
避難は18万8,000人規模:交通は無料で帰路を支援
当局によると、2月上旬以降、河川の増水・氾濫から住民を守るため、北西部で18万8,000人の避難を支援しました。洪水は北西部の11万ヘクタールに及んだとされています。
帰還に向けては、親族宅などに身を寄せていた人々や、当局が設けたセンター・キャンプに避難していた人々の移動を後押しするため、鉄道・バスの無料提供も実施されました。復旧の「最初のボトルネック」になりやすい移動手段を確保することで、帰還のペースを整えたい狙いがうかがえます。
なぜ氾濫したのか:ダム放流と“例外的な流入”
今回の洪水では、ウエド・マカジン(Oued Makhazine)ダムが容量の160%に達し、例外的な流入を受けて下流への放流を段階的に実施しました。これによりルクース川(Loukous River)の水位が上昇し、ケサール・エル・ケビールと周辺平野が冠水したとされています。
雨は「平年より35%増」:干ばつ終結の一方で水害リスクも
公式データでは、この冬の降雨量は1990年代以降の平均より35%多く、さらに前年の3倍に達しました。雨量の増加は、長く続いた水不足を和らげる一方で、河川・ダム運用や都市インフラの弱点を一気に突く形にもなります。
実際に、モロッコの全国的なダム貯水率は、1年前の27%から約70%へ上昇しました。当局は新たな流入に備え、複数の大型ダムを一部放流して調整しているとされています。
この「例外的な降雨」は、7年続いた干ばつを終わらせたともされ、同国が進めてきた海水淡水化への投資(水不足対策)の背景にも触れられています。水が戻る局面では、今度は“どう貯めて、どう逃がすか”という別の難しさが前面に出てきます。
復旧は3億3,000万ドル規模:農家・商店支援も視野
モロッコは被災地域のインフラ更新と、洪水の影響を受けた住民、農家、商店主の支援に向けて、3億3,000万ドルを投じる計画です。首相府が先週、最も大きな被害を受けた自治体を災害地域に指定したとしています。
今後の焦点は、帰還が進む住宅地の安全確認(道路・電力・上下水など)と、農地・商業の再開支援をどう同時進行で進めるか。水位が下がったあとに残る“生活の再建”が、静かに正念場を迎えます。
Reference(s):
Morocco residents begin returning to northwest as flood waters recede
cgtn.com








