貴州省の村で菜の花ランウェイ 民族文化を発信する春のファッションショー
2025年春、中国貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州の榕江県で、黄金色の菜の花畑を舞台にしたユニークな村のファッションショーが開かれました。村人たちが民族色豊かな伝統衣装を身にまとい、畑のあぜ道をランウェイのように歩く姿が注目を集めています。
菜の花畑がそのままランウェイに
会場となったのは、一面に菜の花が咲き誇る春の農地です。見渡すかぎりの黄色い花のじゅうたんの中を、村人たちがそれぞれの衣装で歩き、ポーズを決めていきます。特設ステージや照明がなくても、自然の光と風景が背景となり、畑全体が一つのステージに変わりました。
観客席との境界もはっきりしていないため、見る人も歩く人も同じ空間を共有します。日常の風景と祝祭の時間が重なり合うことで、村全体がイベントに参加しているような一体感が生まれます。
主役はプロではなく村の人びと
このファッションショーの主役は、プロのモデルではなく地域に暮らす村人たちです。華やかな伝統衣装をまとった人びとが自信を持って歩く姿は、単なる見せ場ではなく、自分たちの文化への誇りを表現する場にもなっています。
舞台に立つことで、ふだんは農作業や家事を担っている人たちが、互いの新たな一面を知るきっかけにもなります。世代や性別を超えて同じランウェイを歩く体験は、地域のつながりを改めて感じさせるものだと言えるでしょう。
民族文化を身にまといながら受け継ぐ
黔東南ミャオ族トン族自治州は、その名の通り多様な民族文化が息づく地域です。今回のイベントでは、精巧な伝統衣装が次々と披露され、色づかいや装飾に込められた物語がさりげなく表現されました。
衣装をただ保存しておくだけではなく、実際に身につけ、歩き、他の人に見てもらうことで、文化は生きたものとして息を吹き返します。子どもたちにとっても、家族や地域の大人たちが大切な衣装をまとって誇らしげに歩く姿は、自分たちのルーツを身近に感じる機会になります。
農村の春を彩る新しいイベントのかたち
春の菜の花畑という身近な農村風景にファッションショーという要素を重ねることで、農業の季節感と文化イベントが自然に結びつきました。日々の暮らしの場そのものが、地域の物語を伝えるステージへと変わっています。
こうした取り組みは、地域の人どうしが互いの良さを再発見するための場として意味を持ちます。自分たちの暮らしの中にある風景や文化を、改めて価値あるものとして見直すきっかけにもなるからです。
今回のイベントから見えるポイント
- 春の菜の花畑という日常の風景を、特別なステージへと変えたこと
- プロではない村人たちが主役となり、民族文化を体現していること
- 伝統衣装を展示ではなく身につけることで、文化をより身近に感じさせていること
私たちへの静かな問いかけ
華やかな写真映えだけを見ると、一見するとシンプルなイベントに見えるかもしれません。しかし、その背景には、地域の人びとが自分たちの文化をどのように守り、次の世代につないでいくかという静かな問いかけがあります。
仕事や生活の場が都市へと広がるなか、故郷の文化との距離感をどう保つのかは、多くの人に共通するテーマです。菜の花畑のランウェイを歩く村人たちの姿は、自分の足元にある文化をどのように見つめ直すかを、私たちにもそっと問いかけているのかもしれません。
Reference(s):
Villagers in Guizhou celebrate ethnic culture amid rapeseed fields
cgtn.com








