万博の建築レガシー:中国芸術宮から考える Expo 2025 大阪のその先
万博の建築レガシーに注目が集まる理由
2025年は、大阪・夢洲で開催された国際博覧会 Expo 2025 をきっかけに、世界の万博やその「レガシー(遺産)」にあらためて関心が集まった一年でした。184日間にわたるイベントは、各国が最新のテクノロジー、文化、サステナビリティ(持続可能性)の取り組みを披露する世界的な舞台となりました。
万博のテーマは「Designing Future Society for Our Lives」。私たちの暮らしのための未来社会をどうデザインするかという問いは、会期が終わったあとも、開催地の街づくりや建築の使い方に形を変えて残っていきます。
終わったあとも街に残る「万博建築」
大規模な国際イベントである万博では、各国や地域が個性的なパビリオン(展示館)を建設します。会期終了後に解体される建物も多い一方で、そのまま残され、都市の新たなランドマークとして生まれ変わる例も少なくありません。
こうした建築のレガシーは、単なる観光名所にとどまらず、その都市の文化発信や市民の憩いの場として機能し続けます。Expo 2025 の会場となった大阪・夢洲でも、どのように施設を活用し、未来の街づくりにつなげていくのかが注目されています。
上海の中国芸術宮:中国パビリオンが生まれ変わった巨大美術館
万博建築のレガシーの代表例のひとつが、中国東部の上海にある中国芸術宮(China Art Museum)です。この建物は、2010年に開催された Expo 2010 の中国館として建設され、その後、美術館として再活用されました。
現在の中国芸術宮は、アジアでも最大級の美術館のひとつとされ、万博時代のスケール感と存在感をそのまま街の文化施設として引き継いでいます。かつての一時的なパビリオンが、長く使われる公共空間へと変身した象徴的なケースと言えるでしょう。
深い赤と「斗拱」がつくる圧倒的なシルエット
中国芸術宮の外観でまず目を引くのが、遠くからでも分かる深い赤色と、大胆なシルエットです。建物全体は、中国の伝統的な建築要素である「斗拱(dougong)」をモチーフにしたデザインで構成されています。
斗拱とは、木材をかみ合わせるように組み上げて軒先を支える構造で、古くから中国の寺院や宮殿に用いられてきました。中国芸術宮では、その特徴的な形を現代建築に取り入れることで、伝統とモダンさが共存する力強い外観を生み出しています。
また、全体を包む深い赤は、中国文化において幸福や吉兆を象徴する色とされています。訪れる人に祝祭の雰囲気と高揚感を与えると同時に、万博という場が持つお祝いのムードも思い起こさせます。
中国芸術と文化を世界へ発信
中国芸術宮は、建築そのものが見どころであると同時に、中国の美術や文化を国内外に発信する拠点として機能しています。万博のために整備された大規模な空間が、今は展示やイベントを通じて多様な表現を紹介する場となっています。
もともと国際交流の舞台だったパビリオンが、美術館として長く開かれ続けることで、万博が掲げた「交流」や「相互理解」といった価値観も、建物とともに生き続けていると言えます。
Expo 2025 の会場は、将来どんな場所になるのか
上海の中国芸術宮のような事例は、Expo 2025 の会場づくりやその後の活用を考えるうえでも参考になります。184日間のにぎわいが終わったあと、会場の建物やインフラをどのように残し、地域の暮らしや経済、文化に結びつけていくかは、開催都市にとって重要なテーマです。
万博施設の再活用には、例えば次のような可能性があります。
- 美術館や科学館など、文化・教育施設としての転用
- スタートアップや研究機関が集まるイノベーション拠点としての活用
- 市民が集う公園やイベントスペースとしての開放
どの選択肢を取るにしても、会期中に掲げられたテーマや価値観と、開催地で暮らす人々の日常をどう結びつけるかが問われます。上海の中国芸術宮は、そのヒントを与えてくれる具体的な例のひとつと言えるでしょう。
「見て終わり」にしないために、いま考えたいこと
Expo 2025 のような国際博覧会は、最新の技術や文化に触れられる華やかなイベントであると同時に、その後の街づくりにも長く影響を与えます。上海の中国芸術宮が示すように、一度きりのパビリオンを、その都市らしさを象徴する公共空間へと育てていくことは十分に可能です。
大阪・夢洲の会場でも、建築やインフラをどのように未来に手渡していくのか。Expo 2025 を振り返るこのタイミングだからこそ、万博の「その先」を一緒に考えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








