万博建築のレガシー:モントリオール「バイオスフィア」と環境ミュージアム
カナダ・モントリオールのランドマーク「バイオスフィア」は、エキスポ67の米国館として生まれ、現在は環境保護をテーマにしたミュージアムとして人々の意識と行動を刺激し続けています。
モントリオールにそびえる球体のランドマーク
バイオスフィアは、カナダ・モントリオールのパルク・ジャンドラポーに位置する建築物です。印象的な球体のシルエットと、格子状の構造で形作られた外観により、モントリオールを象徴する風景のひとつになっています。
この建物は、地元の人々だけでなく世界各地から訪れる旅行者にとっても、「モントリオールといえば思い出す風景」として記憶に残る存在です。
エキスポ67米国館から環境ミュージアムへ
もともとバイオスフィアは、モントリオールで開催されたエキスポ67における米国館として建てられました。国際博覧会のために設計されたパビリオンが、その後も都市に残り、新たな役割を担っている点が特徴です。
現在、この建物は環境とその保護をテーマにしたミュージアムとして活用されています。万博の象徴だったパビリオンが、環境問題を伝える場へと姿を変えたことは、国際イベント後の施設活用の一つのモデルケースと見ることができます。
- 国際博覧会という期間限定のイベントから生まれた建築が、長く公共空間として使われていること
- 建築そのものが、環境保護の重要性を伝えるメッセージの一部になっていること
- 都市のランドマークが、市民の学びと対話の場として機能していること
環境とその保護を伝えるミュージアム
現在のバイオスフィアは、環境とその保護をテーマにしたミュージアムとして運営されています。その目的は、環境問題に対する人々の意識を高め、具体的な行動や社会への関わりを促し、社会・生態学的転換を支えることにあります。
環境ミュージアムとしてのバイオスフィアは、単に情報を伝えるだけでなく、来館者が自分自身の暮らしと地球環境とのつながりを考えるきっかけを提供する場だと考えられます。
社会・生態学的転換というキーワード
バイオスフィアが目指しているとされる「社会・生態学的転換」とは、人間社会のあり方と自然環境との関係を見直し、より持続可能な方向へと変えていこうとする動きです。
ミュージアムという形をとることで、次のような問いを来館者に投げかけていると見ることができます。
- 自分の日常生活は、周囲の生態系や地球環境にどのような影響を与えているのか
- 環境への負荷を減らすために、今日からどのような行動を始められるのか
- 個人だけでなく、都市やコミュニティはどのように環境保護に関わることができるのか
バックミンスター・フラーとジオデシックドーム
バイオスフィアを設計したのは、著名な米国人建築家バックミンスター・フラーです。彼が手がけたこの建物は、ジオデシックドームと呼ばれる構造で知られています。
ジオデシックドームとは、多数の三角形を組み合わせて構成された、球体に近い格子状の構造をもつドームです。バイオスフィアでは、この幾何学的な構造そのものが強い視覚的インパクトを生み、世界各地の人々からも印象的な建築として記憶されています。
フラーによるこの設計は、建築が単なる「器」ではなく、都市のアイデンティティを形づくる象徴になりうることを示していると言えるでしょう。
2025年の今、バイオスフィアが示すもの
2025年の今、気候変動や生物多様性の危機など、環境をめぐる課題は世界中の都市にとって避けて通れないテーマになっています。その中で、万博パビリオンだったバイオスフィアが環境ミュージアムとして機能し続けていることには、いくつかの意味があります。
- 短期イベントのために建てられた施設が、長期的な公共資産として再定義されていること
- ランドマーク建築が、観光名所であると同時に環境教育の場にもなっていること
- 建築デザインと社会課題(ここでは環境保護)が結びつくことで、メッセージに深みが生まれていること
バイオスフィアの歩みは、建築の再利用や都市開発を考えるうえでも、ひとつのヒントを与えてくれます。国際イベントのためにつくられた建物をどのように生かし続けるかという問いは、これからの大規模イベントを考えるうえでも重要です。
私たちの暮らしへの示唆
カナダ・モントリオールのバイオスフィアは、万博建築のレガシーが現在の環境課題と結びつき、都市に新しい意味を与えうることを示す象徴的な存在です。
通勤時間やスキマ時間にニュースをチェックする私たち一人ひとりにとっても、この事例は次のような問いを投げかけます。
- 身近な建物や公共空間は、どのようなメッセージや価値観を私たちに伝えているのか
- 環境への意識や行動を日常のどこに組み込めるのか
- 都市の象徴的な場所を、より学びや対話の場として活用できないか
バイオスフィアのように、過去の国際イベントから生まれた建築が、現在の環境ミュージアムとして社会・生態学的転換を後押ししている姿は、「読みやすいのに考えさせられる」国際ニュースとして、私たちの視野を静かに広げてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








