小麦収穫シーズンの中国本土 山西省・刀削麺のおいしさの秘密 video poster
小麦の収穫が最盛期を迎える今、中国本土・山西省では、挽きたての小麦粉から作る名物の刀削麺が一番おいしい季節を迎えています。なめらかでもちもちの独特な食感は、どこから生まれるのでしょうか。
小麦収穫とともに始まる、山西省の麺作り
2025年現在、中国本土では小麦の収穫シーズンに入っています。山西省では、この時期に収穫された小麦を挽いた高品質の小麦粉が出回り、地元の人びとはその粉で刀削麺をはじめとするさまざまな麺料理を楽しみます。
挽きたての粉は香りがよく、水分やたんぱく質のバランスも良いため、弾力のある生地が作りやすくなります。こうした条件が、刀削麺の食感づくりの出発点になっています。
刀削麺とはどんな麺か
刀削麺は、山西省を代表する麺料理で、大きな生地のかたまりを片手に持ち、もう片方の手に持った専用の包丁で、直接沸騰した湯の中へと薄く削り落としていくスタイルの麺です。
特徴的なのは、次のような点です。
- 中央はやや厚く、縁は薄くなりやすい独特の形
- 表面はつるりとなめらかで、噛むともっちりとした弾力
- 鍋の中で一気に茹で上げるため、小麦の風味が立ちやすいこと
見ているだけで迫力のある調理方法と、心地よい噛みごたえ。この二つが合わさることで、刀削麺は山西省を象徴する名物として親しまれています。
なめらかでもちもち 食感の秘密
挽きたての高品質小麦粉
刀削麺の生地に使われるのは、収穫したばかりの小麦を丁寧に製粉した小麦粉です。粉の質が良いほど、生地を伸ばしたり削ったりしても切れにくく、弾力のある仕上がりになります。
山西省では、こうした小麦粉を使って生地を練ることで、刀削麺に欠かせないコシと粘りを引き出しています。
水と塩のさじ加減
生地作りで重要なのが、水と塩のバランスです。水が多すぎると柔らかくなりすぎて形が崩れやすくなり、少なすぎると削るときに割れやすくなってしまいます。
適度な塩を加えることで、生地が締まり、茹で上がった麺の歯ごたえが増します。職人はその日の気温や湿度、生地の状態を見ながら、水分量や塩の量を微調整していきます。
こねる・寝かせるという職人技
小麦粉に水と塩を加えたら、力強くこねていきます。この工程で、生地の中に細かな筋道のような構造ができ、弾力や伸びが生まれます。
十分にこねた後は、生地をしっかりと休ませることも大切です。寝かせる時間を取ることで、生地全体に水分がなじみ、削ったときにちぎれにくく、なめらかな表面を持つ麺になります。
鍋の上の一瞬を制する 刀削麺職人の技
生地ができたら、いよいよ刀削麺の見せ場である「削り」の工程です。大きな鍋で湯を沸かし、そのすぐ上で生地を抱え、包丁で一枚一枚削り落としていきます。
職人の技は、次のような細かな動きに現れます。
- 生地に当てる包丁の角度を一定に保つこと
- 腕の振りと手首の返しで厚さをコントロールすること
- 湯の沸き具合を見ながら、削る速度を調整すること
慣れた職人は、一定のリズムで次々と麺を湯に飛ばしていきます。湯の上で踊るように落ちていく麺は、見ている人にも収穫シーズンの活気を感じさせます。
収穫期だからこそ味わえる一体感
小麦の収穫期に味わう刀削麺は、畑から食卓までの距離の近さを実感させてくれます。収穫されたばかりの小麦が粉になり、生地となり、数秒のうちに熱湯の中で麺へと姿を変える。その流れを目の前で見ることは、食べる側にとっても特別な体験です。
山西省の人びとにとって、刀削麺は単なる名物料理ではなく、季節の移り変わりや農業のリズムを映し出す一皿でもあります。小麦の出来を確かめるように、家族や友人と鍋を囲みながら麺をすすり、収穫の恵みを分かち合います。
日本の食卓から見える視点
日本にもうどんやラーメン、そばなど、小麦や穀物を大切にしてきた麺文化があります。山西省の刀削麺の背景にあるのは、穀物を無駄なく使いきり、日々の暮らしを支えてきた知恵という点で、日本の食文化とも通じるものがあります。
国際ニュースとして小麦の収穫や食料問題が取り上げられることが増えるなか、こうした地域の料理に目を向けることは、食料と農業を身近なテーマとして考えるきっかけにもなります。スマートフォンの画面越しに見る一杯の麺の奥にも、畑で働く人びとや、受け継がれてきた技術があることを想像してみると、ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。
小麦収穫シーズンの中国本土・山西省で生まれる刀削麺。そのなめらかでもちもちとした一杯には、季節と土地、人の技がぎゅっと詰まっています。
Reference(s):
Wheat harvest season: The secret behind Shanxi's knife-cut noodles
cgtn.com








