中央アジア最大級の風力発電所を訪ねて 砂漠に広がる持続可能な未来 video poster
中央アジアのキジルクム(Kyzylkum)砂漠のまっただ中に、巨大な風車が林立する風力発電所があります。中央アジア探検隊が訪れた「ブハラ風力発電プロジェクト(Bukhara Wind Power Project)」は、現在運転中の施設としては中央アジア最大規模とされる風力発電所です。中国の技術も参加するこの現場は、砂漠からどのような持続可能な未来を生み出そうとしているのでしょうか。
砂漠にそびえる「風車の森」 ブハラ風力発電プロジェクト
ブハラ風力発電プロジェクトが建設されたのは、砂嵐が吹き荒れるキジルクム砂漠です。見渡す限り広がる砂の大地に、白いタワーと長いブレード(羽根)を持つ風車が規則正しく並び、その姿はまさに「風車の森」です。
砂漠は日較差(昼と夜の気温差)が大きく、強い風と砂塵にさらされる過酷な環境です。その一方で、一年を通じて安定した風が期待できることから、風力発電にとっては潜在力の高い場所でもあります。ブハラ風力発電プロジェクトは、そうした自然条件を生かしつつ、技術と運営の工夫で電力を安定的に生み出そうとしている取り組みだといえます。
現地を訪れた中央アジア探検隊の取材を通じて、砂漠の真ん中に広がる巨大インフラが、単なる「発電所」ではなく、地域の将来像を左右する存在になりつつあることが浮かび上がります。
ウズベキスタン・カザフスタン・中国の技術者が支える国際協働
この風力発電所の特徴のひとつが、多国籍の技術者が協力して運営している点です。取材では、ウズベキスタン、カザフスタン、中国から集まったエンジニアたちが、それぞれの経験や専門性を持ち寄り、日々の運転と保守にあたる姿が伝えられています。
砂漠の風力発電には、特殊な技術と知見が欠かせません。例えば、
- 砂塵による設備の摩耗をどう抑えるか
- 急激な風の変化にタービンをどう対応させるか
- 遠隔地から都市部へ電力を送る送電網をどう安定させるか
といった課題があります。エンジニアたちはこうした課題に向き合いながら、運転データを分析し、メンテナンス計画を調整し、日々の改善を重ねています。
異なる国の技術者が同じ現場で働くことは、単に人手を増やすだけではありません。設計思想や安全文化、現場のノウハウなどが共有されることで、風力発電所全体の信頼性向上につながります。同時に、言語や働き方の違いを乗り越えながら協働する経験は、地域の人材育成という面でも意味を持ちます。
中国の技術が砂漠にまく「持続可能な未来」のタネ
今回のプロジェクトを描いたのは、中国の国際メディアCGTNの徐欣晨(Xu Xinchen)記者です。ウズベキスタン、カザフスタン、中国の技術者への率直なインタビューを通じて、中国の技術が砂漠にどのような変化をもたらしているのかが紹介されています。
中国はここ数年、風力・太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で多くの経験を積んできました。その中で培われた、
- 多様な地形・気候条件での建設・運転ノウハウ
- 大量導入を前提としたコスト削減技術
- 監視システムやデジタル技術を活用した運営管理
といった強みが、中央アジアの風力発電所でも生かされているとされています。こうした技術が導入されることで、砂漠地域でも持続可能な形で電力を生み出し、地域経済の発展や雇用にもつながる可能性があります。
「砂の大地から未来のエネルギーを育てる」という表現は決して誇張ではありません。発電所の建設・運営にかかわる人々のスキルが高まり、周辺地域のインフラ整備が進み、再生可能エネルギーに関する教育や関心が広がっていくこと自体が、長期的な意味での「持続可能な未来のタネ」だと考えられます。
2025年の日本から見た中央アジアの風力発電の意味
では、遠く離れた日本に暮らす私たちにとって、この中央アジアの風力発電所はどのような意味を持つのでしょうか。2025年の今、エネルギー転換は世界共通の課題となっており、日本もまた再生可能エネルギーの導入拡大とエネルギー安全保障の両立を模索しています。
ブハラ風力発電プロジェクトのような取り組みからは、次のような視点を得ることができます。
- 資源条件に応じた最適解を探る視点
砂漠という条件を逆手に取り、大規模風力に活路を見出した中央アジアの試みは、日本における地方・離島のポテンシャルを考えるヒントになります。 - 国境を超えた技術協力のあり方
ウズベキスタン、カザフスタン、中国の技術者が協働する姿は、エネルギー転換が一国だけの課題ではないことを象徴しています。 - インフラ整備を通じた地域の自立
現地での発電能力が高まることは、電力輸入に頼らない形で地域の経済や暮らしを支えることにもつながります。
また、国際ニュースとしてこうしたプロジェクトを知ることで、私たちが普段あまり意識しない中央アジアの社会や経済、そしてそこに関わる人々の仕事を、より立体的にイメージできるようになります。
中央アジアの風とともに進むエネルギー転換
キジルクム砂漠の「風車の森」は、単に中央アジア最大級の風力発電所というだけでなく、地域協力と技術交流の象徴でもあります。そこには、
- 砂漠という厳しい自然環境に挑む技術者たち
- 再生可能エネルギーで地域を支えようとする試み
- 国境を越えて知見を共有し合う人々
の姿があります。
中国の技術が加わったブハラ風力発電プロジェクトは、中央アジアにおける持続可能な未来への一つのモデルケースとして注目されています。2025年の世界を見渡すとき、エネルギー転換は各地域がそれぞれの条件に応じて模索する「ローカルな課題」であると同時に、それらをつなぎ合わせた「グローバルな物語」でもあります。
砂漠の風を電力に変えるこのプロジェクトを入り口に、中央アジアと再生可能エネルギー、そして日本とのかかわり方を、あらためて考えてみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








