香港ビクトリア・ハーバーを渡るスター・フェリーという時間旅行 video poster
香港の中心に広がるビクトリア・ハーバーをゆっくりと横切るスター・フェリーは、2025年の今も、街の空気と歴史を同時に感じられる乗り物として、多くの人の記憶に残り続けています。
ビクトリア・ハーバーを渡る「静かな時間」
香港の真ん中で、この街ならではの魅力を肌で感じたいとき、歴史あるスター・フェリーに乗るという選択肢があります。ビクトリア・ハーバーを行き交うこの船は、100年以上の歴史を持つ存在として、いまも海の上から香港の表情を静かに見せてくれます。
デッキに立てば、顔に当たるのはエアコンではなく、海から吹き抜ける爽やかな風です。水面を渡る涼しい空気と、ゆったりとした揺れに身を任せていると、都市の喧騒が少しだけ遠のいていきます。
目の前には、高層ビルが立ち並ぶスカイラインが広がります。港の両岸に伸びるビル群を一望できるパノラマの景色は、短い乗船時間のあいだにも、国際都市・香港が持つエネルギーと、美しさの両方をはっきりと伝えてくれます。
過去と現在が重なる「時間の橋」
スター・フェリーは、乗客に単なる移動手段以上のものを提供しています。それは、この街の過去と現在をつなぐ、目に見えない「時間の橋」のような体験です。
デジタル化が進み、高速鉄道や新しい交通手段が次々と登場する一方で、100年以上の歴史を持つ船が、今も変わらず港を行き来している――この事実そのものが、香港という都市の成り立ちを静かに物語っているようにも感じられます。
甲板から眺めるビクトリア・ハーバーの風景には、二つの時間が同時に重なっています。ひとつは、現在の国際都市としての香港。もうひとつは、長い年月のあいだ海と共に生きてきた港町としての香港です。乗客は、その両方を同時に見つめることになります。
乗船中に味わえる三つの感覚
- 海風を感じる感覚:冷房の効いた室内ではなく、自然の風を受けながら移動することで、街との距離がぐっと近くなります。
- 立体的なスカイライン:陸から見上げるのとも、高層ビルから見下ろすのとも違う、海面の高さからの眺めは、香港の街並みを新鮮な角度で見せてくれます。
- 過去と現在が混ざり合う感覚:歴史ある船に揺られながら、最新のビル群を眺めるという組み合わせ自体が、この都市の時間の層の厚さを感じさせます。
国際都市を読むための、もうひとつの「ニュース」
国際ニュースでは、香港について語られるとき、政治や経済の動きが注目されがちです。しかし、街の日常の一部であるスター・フェリーのような存在にも、その都市のあり方が表れています。
歴史ある公共交通が今も使われ続けていることは、単なるノスタルジーではありません。短い乗船時間の中で、乗客は、海と街、高層ビルと波の音、スピードとゆっくりとした移動という対照的な要素を同時に体験します。そのバランスの取り方こそが、国際都市・香港の「現在地」を映し出しているとも言えるでしょう。
「早く着く」だけでは測れない価値
スマートフォンでいつでも情報にアクセスできる今、多くの移動は「いかに早く目的地に着くか」で評価されがちです。その一方で、スター・フェリーのような移動は、「移動している時間そのもの」に意味があることを思い出させてくれます。
デッキに立って海風を受ける数分間は、仕事や予定に追われる日常から半歩離れ、自分のペースを取り戻す小さな余白にもなります。香港に暮らす人にとっても、初めてこの街を訪れる人にとっても、その時間はちょっとした「リセットボタン」のような役割を果たしているのかもしれません。
あなたなら、この港をどう眺めたいですか
スター・フェリーでのひとときは、ビクトリア・ハーバーという同じ景色を、まったく別の角度から見せてくれます。同じ港でも、どこから眺めるかで印象が変わるように、国際都市をどう見るかも、私たちの立ち位置によって変わってきます。
次にニュースで香港の名前を目にしたとき、ビル群のシルエットの向こう側を、静かに行き交う小さなフェリーの存在に思いをはせてみるのも一つの見方です。街の「大きな出来事」だけでなく、ビクトリア・ハーバーを渡るこの歴史ある船のような、ささやかな日常の風景にも、その都市の素顔がにじんでいます。
Reference(s):
cgtn.com








