中国Xizangのヤクとヤムドク湖 高地農業が描く静かな風景
国際ニュースを日本語で読みたい読者のあいだで、近年じわじわと関心が高まっているのが、中国の高地地域Xizangに広がる農村風景です。とくにYamzhog Yumco(ヤムドク湖)のほとりでは、ヤクと高地農業がつくる静かな景色が、自然と人の営みのつながりを象徴する場として注目されています。
高地に浮かぶYamzhog Yumco 湖面に空を映す「鏡」
XizangにあるYamzhog Yumco Lakeは、高原に静かにたたずむ湖です。周囲を取り巻くのは、澄んだ空気と広い空、そして遠くまで続く高地の景観。風の弱い日には、水面が空をそのまま写し取ったかのように、雲や光を鏡のように映し出します。
湖の周囲では、季節ごとに光の表情が変わります。強い日差しの下では青く深い色合いになり、夕暮れにはオレンジや紫が混ざり合い、静かな高地の一日を締めくくります。その手前に、人びとの生活の場である畑や牧草地が広がり、自然と暮らしがひとつの風景として溶け合っています。
湖畔を歩くヤク 高地に生きる家畜
この地域でひときわ目を引くのが、Yamzhog Yumcoの周りを自由に歩き回るヤクの姿です。黒や茶色の体が点々と連なり、高地の草地に独特のリズムを生んでいます。
ヤクは、高地の寒さや薄い空気に適応した家畜として知られています。厚い毛に覆われた体で冷たい風に耐えながら、湖の周辺や斜面の草をはみ、ゆっくりと移動していきます。その動きはあわただしさと無縁で、湖の静けさとよく調和しています。
遠くから眺めると、湖、空、山並みのキャンバスの上に、ヤクが小さな点として散らばり、高地の風景に命の気配を与えているようにも見えます。人びとはこのヤクとともに暮らし、その存在は牧畜だけでなく、地域の文化や日常のリズムにも深く結びついています。
ヤムドク湖の水が育む高地農業
Yamzhog Yumco Lakeは、ただ美しいだけの湖ではありません。その水は、高地の農地をうるおす大切な源でもあります。湖の水を取り入れる灌漑(かんがい)システムが周囲に張りめぐらされ、畑を支えています。
湖畔の土地では、次のような作物が育てられています。
- 高地の気候に適した高原オオムギ(ハイランド・バーリー)
- 黄色い花を咲かせる菜種(ナタネ、菜種油の原料)
湖の水で灌漑された畑には、高原オオムギの穂が風に揺れ、その合間を菜種の黄色い花が彩ります。空の青、湖の青、畑の緑と黄色、そしてヤクの黒や茶のコントラストが、どこを切り取っても絵になるような農村風景を形づくっています。
灌漑システムによって安定して水が供給されることで、この高地でも作物を育てることができます。人びとの手で整えられた水路と、自然の湖の水が組み合わさることで、厳しい自然条件の中に持続的な農業の場が生まれているのです。
自然と人の労働が溶け合う高原の農村風景
Yamzhog Yumcoの周辺に広がる一帯は、「湖」「人」「家畜」「畑」が一体となった風景と言えます。無理に自然を変えるのではなく、湖の水や高地の地形を生かしながら、人びとが生活と農業のリズムをつくってきました。
この風景の特徴をあえて整理すると、次のようになります。
- 湖は、景観をつくると同時に水資源として農業を支える存在
- ヤクは、高地の自然に適応した家畜として、牧畜と暮らしを支える存在
- 高原オオムギや菜種の畑は、人の手による労働の成果であり、生活の基盤
- そのすべてが、高地という厳しい環境のなかで調和を保ちながら共存している
こうした農村風景は、観光写真として見ると「美しい場所」として消費されがちですが、その裏には、湖の水を引き、土を耕し、家畜と共に暮らしてきた人びとの長い時間と労働があります。Yamzhog Yumcoの静けさの中には、そうした日々の営みが静かに積み重ねられているのです。
2025年の視点:高地から考える持続可能な暮らし
2025年の今、世界各地で「持続可能な農業」や「自然と共生する暮らし」が重要なキーワードになっています。高地にあるYamzhog Yumco Lakeと、その周りで続く高地農業・牧畜のあり方は、こうしたテーマを考えるうえで示唆に富む例です。
都市部で暮らす私たちにとって、湖畔を歩くヤクや、高原オオムギの畑は遠い世界の出来事のように感じられるかもしれません。しかし、気候や地形に合わせて作物を選び、水を大切に使いながら暮らしていくという発想は、多くの地域で共有できるものです。
Yamzhog Yumco Lakeのほとりで、湖と人、ヤクと畑がつくり出す高地の農村風景。その静かな光景は、「自然のリズムに合わせて暮らすとはどういうことか」を、2025年を生きる私たちにそっと問いかけているようにも見えます。
Reference(s):
cgtn.com








