天津レスリング:中国式レスリングを家族三代で継ぐコーチの物語 video poster
力だけに頼らない中国式レスリング「天津レスリング」。清朝末期から続くこの伝統スポーツが、2025年のいまも家族の手によって受け継がれています。中国の文化やスポーツに関心のある読者にとって、国際ニュースの中でも見落としがちな「継承」の最前線といえる存在です。
モンゴル系レスリングとの違いは「しなやかさ」
モンゴル系のレスリングが、主に筋力や体格の強さを前面に出したスタイルとされるのに対し、中国式レスリングはより敏捷で柔軟な動きを重視します。力で押し切るのではなく、相手の動きに素早く反応し、バランスを崩していく「しなやかな攻防」が特徴です。
こうした中国式レスリングの考え方の中で生まれた流派の一つが「天津レスリング」です。スピードと柔軟性を活かしつつ、安定した構えや冷静な判断も求められる、総合的なスタイルだといえます。
天津レスリングの歴史とスタイル
天津レスリングの歴史は、清朝末期までさかのぼるとされています。長い時間の中で磨かれてきたこの流派は、中国式レスリングの中でもバランスと多様性を重んじるスタイルとして受け継がれてきました。
天津レスリングの特徴として、次のような点が挙げられます。
- 攻撃と防御の両方を意識した、バランスの取れた構え
- 状況に応じて使い分けられる、多様で柔軟な技の組み立て
- 筋力だけに頼らず、敏捷性と柔軟性を活かした動き
こうしたスタイルは、純粋な勝ち負けだけでなく、身体の使い方や相手との駆け引きを楽しむ「技のスポーツ」としての側面も持っています。
祖父、父から孫へ――家族でつなぐ技
この天津レスリングを家族の中で受け継いできたのが、Zhang Shaohuaさんです。Zhangさんは、祖父と父から直接この技を学びました。祖父から父へ、そして父から自分へと技が受け継がれていく過程そのものが、一つの物語になっています。
家族三代にわたって同じ中国式レスリングを磨き続けるということは、単に技術を覚える以上の意味を持ちます。日々の稽古の中で、身のこなしや技のタイミングだけでなく、向き合い方や姿勢といった「生き方」も一緒に伝わっていきます。
コーチとして次世代を育てるZhangさん
現在、Zhangさんはコーチとして、新しい世代の選手たちを指導しています。自らが祖父と父から受け取った天津レスリングの技と精神を、そのまま次の世代へ手渡している形です。
若い世代は、中国式レスリングの技を学ぶと同時に、それが清朝末期から続く長い歴史の一部であることも知ることになります。自分が身につけている技が「家族の物語」であり、「地域の歴史」でもあると実感できることは、大きなモチベーションにもなります。
一人のコーチが、家族の遺産を新しい世代に渡し続けることで、天津レスリングという流派そのものの命もつながっていきます。スポーツの世界では、こうした静かな継承こそが、長期的には最も大きな力を持つのかもしれません。
なぜ伝統スポーツの継承がニュースになるのか
都市化やライフスタイルの変化が進むなかで、長い歴史を持つスポーツや武術を続けていくことは、どの国や地域にとっても簡単ではありません。だからこそ、清朝末期から続く天津レスリングが、2025年のいまも受け継がれているという事実にはニュースとしての意味があります。
特にデジタルネイティブ世代にとって、このニュースには次のような視点が含まれています。
- 力だけに頼らない、中国式レスリングの発想と技術の面白さ
- 祖父・父・子の三世代で技をつなぐ、家族の物語としてのスポーツ
- 一つの競技を通じて、他国の文化や歴史への理解を深めるきっかけ
日本を含むさまざまな国や地域でも、伝統的なスポーツや遊びが消えていく一方で、静かに受け継がれているものも少なくありません。天津レスリングのような例に目を向けることは、自分たちの身近な文化を見直すヒントにもなります。
国際ニュースは、大きな政治や経済の動きだけではありません。天津レスリングを家族三代で継いできたZhangさんのような存在が、文化やスポーツの世界を支えていることも、同じくらい重要なニュースだといえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








