北京で第二次世界大戦勝利80周年の記念地下鉄列車 戦時の記憶を車内に video poster
第二次世界大戦と中国人民の抗日戦争の勝利から80年を記念し、北京市の地下鉄19号線で特別デザインの記念列車が運行を始めました。日常の通勤電車を舞台に、戦時の記憶を次の世代へ伝えようとする試みです。
北京地下鉄19号線に「記念列車」が登場
この記念列車は、第二次世界大戦における中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を記念して、北京市で日曜日に運行を開始しました。地下鉄19号線で約1カ月間運行される予定で、7両すべてが特別仕様のテーマ車両となっています。
7両編成の「動く記念館」 車内の工夫
列車には、それぞれ異なるテーマを持つ7つの車両が連結されています。車内には、戦時期の出来事や人びとの行動を伝えるためのさまざまな工夫が施されています。
- 壁面いっぱいに広がるグラフィック展示
- 当時の雰囲気を表現した装飾やデザイン
- 乗客が参加して学べるインタラクティブな体験型装置
こうした演出によって、中国の人びとの戦時下での行動や、その後も受け継がれてきた革命の精神が、視覚的かつ体験的に表現されています。通勤や通学の途中で乗り合わせた人も、車内を見回すうちに自然と歴史に触れることになります。
なぜ今、地下鉄で歴史を伝えるのか
2025年は、第二次世界大戦と中国人民の抗日戦争の勝利から80年という節目の年です。記念館や式典だけでなく、地下鉄のような公共交通機関を使って歴史を伝えようとする取り組みには、次のような狙いがあると考えられます。
- 日常生活の延長線上で、誰もが気軽に歴史に触れられる
- 若い世代にとって、教科書以外の形で戦争を知る入り口になる
- 戦争体験者が少なくなる中で、記憶の継承を社会全体の課題として共有する
地下鉄という公共空間に歴史を持ち込むことで、「過去を思い出す日」を特定の記念日だけに限らず、より日常の中に広げていこうとする意図も読み取れます。
日本の読者にとっての問いかけ
日本からこのニュースを見ると、戦争の記憶をどのように公共空間で扱うかという問いが浮かび上がります。もし日本の都市で、第二次世界大戦や空襲、戦後復興などをテーマにした列車が1カ月間走るとしたら、私たちはどう感じるでしょうか。
- 日常の移動空間が歴史を学ぶ場になることへの抵抗感はあるか
- それとも、世代を超えて戦争と平和について考えるきっかけとして受け止められるか
- どのような表現であれば、多様な立場の人びとがそれぞれの思いを保ちながら受け入れやすくなるか
北京で走り始めた記念列車は、単なる国内の記念事業にとどまらず、アジアの国と地域がそれぞれどのように過去を記憶し、その経験を現在と未来の平和につなげようとしているのかを考える手がかりにもなりそうです。
「忘れない」ための新しいかたち
今回の記念地下鉄列車は、歴史継承と都市生活を結びつける試みの一つといえます。およそ1カ月の運行期間中、数えきれないほど多くの市民がこの列車に乗り降りすることでしょう。
その短い乗車時間の中で、乗客が戦時の出来事や当時の人びとの選択に思いを巡らせるなら、通勤電車は単なる移動手段を越えて、過去と向き合う場へと変わります。そうした「動く記念館」が、これからほかの都市や国にも広がっていくのかどうか。80年目の2025年に生まれたこの取り組みの行方に、静かに注目していきたいところです。
Reference(s):
Beijing launches commemorative subway train marking WWII victory
cgtn.com








