中国・新疆「風の谷」ダバンチョン 風力発電が支える西から東への送電 video poster
中国・新疆ウイグル自治区のダバンチョン地区が、「美人とスイカの里」として知られた歌の舞台から、いまや巨大風力発電基地「中国の風の谷」へと姿を変えています。
年間約25億キロワット時の電力を生むこの地域は、自らの電力需要を満たすだけでなく、中国西部から東部へ電力を送る大規模プロジェクトを支える重要拠点になっています。
ダバンチョンはどこにある? 歌から生まれた知名度
ダバンチョン地区は、新疆ウルムチ市に属する細長いエリアで、東西に大きく広がり、南北には幅が狭い地形が特徴です。かつては民謡「ダバンチョンの乙女」で知られ、「美しい娘」と「甘いスイカ」のイメージで親しまれてきました。
しかし今では、風力発電の適地としての特性から「中国の風の谷」とも呼ばれ、その名はクリーンエネルギーの象徴として広がりつつあります。
年間200日以上が強風 地形が生む風の通り道
ダバンチョンの風の強さは、車で通りかかるだけでも体感できます。LiangyungangからHorgosへと向かう高速道路のダバンチョン区間を走る運転手は、一面に広がる風車の「白い森」と、車体が横風で揺れるほどの強風に驚かされるといいます。
北・南・東を山に囲まれたダバンチョンには、西から風が吹き込みます。山と山の間を抜ける際に風が加速する「ベンチュリー効果」によって、風速がさらに高まりやすい環境になっています。
その結果、約1500平方キロメートルに及ぶこの風のゾーンでは、年間214日が風力6以上、149日が風力8以上という強い風に見舞われます。つまり、1年の大半で大型風車を回せるだけの風が吹いていることになります。
40年以上かけて育った「風の谷」の発電力
ダバンチョンでは、40年以上にわたって風力発電プロジェクトの建設が進められてきました。その結果、「中国の風の谷」は年間約25億キロワット時の電力を生み出せるまでに成長しています。
この発電量はダバンチョン地区の電力需要をまかなうだけでなく、中国西部から東部へ電気を送るWest-to-East Power Transmission Projectの一部としても重要な役割を担っています。風の強い西部で生まれた電気が、需要の大きい東部の都市や産業を支えている構図です。
新疆全体で進むクリーンエネルギーの送電
新疆は風資源が豊富で、ダバンチョンはその中にある9つの主要な風力ゾーンの一つとされています。こうした地域ごとの特徴を生かしながら、エネルギー供給の仕組みが作られてきました。
2024年末までに、新疆は中国東部へ累計8676億キロワット時の電力を送電しており、その3分の1はクリーンエネルギーでした。ダバンチョンのような風力発電基地は、そのクリーンエネルギーを支える土台の一つといえます。
「遠くの風」をどう生かすかを考える
ダバンチョンの物語は、資源のある場所とエネルギーを使う場所が必ずしも同じとは限らない、というシンプルな事実を改めて思い出させてくれます。風の強い地域で発電し、送電網を通じて遠く離れた地域の生活や産業を支えるという発想です。
私たちの暮らす地域でも、風や地形といった自然条件をどう活かせるのか。ダバンチョンの風の谷は、そんな問いを静かに投げかけるニュースと言えるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








