新疆ウイグルの五彩灘 ヤルダン地形が語る雷と太陽の物語
中国北西部・新疆ウイグル自治区北部の景勝地「五彩灘(Wucaitan)」は、雷と太陽、風と雨がつくり出したカラフルなヤルダン地形で、地球の時間スケールを感じさせる場所です。国際ニュースを日本語で追う読者にとっても、自然がつくるダイナミックな風景は、資源や環境を考える入り口になります。
アルタイ山脈から流れ出る川が生んだ風景
五彩灘は、新疆北部のアルタイ山脈を源とするイルティシ川(Irtysh River)がつくり出した地形です。この川は五彩灘公園のまさに中央を流れ、景観を二つに分けています。
- 北岸:赤、黄土色、淡い黄色や緑など、さまざまな色が重なるヤルダン地形。砂岩や泥岩が削られ、奇妙な形の岩が立ち並びます。
- 南岸:対照的に、緑豊かなオアシスが広がり、樹木と植生が川沿いの風景を彩ります。
数色どころか「虹色」にも見える北岸と、潤いのある南岸。一本の川を挟んで、荒涼とした大地と生命感あふれるオアシスが向かい合う構図は、スマートフォンの小さな画面越しにも強い印象を残す景観です。
かつては巨大な湖だった五彩灘
現在の五彩灘は乾いた岩の世界ですが、その歴史は数億年前の巨大な湖にさかのぼります。もともとは大きな湖が広がっていた場所で、長い時間をかけて次のような変化が起きたとされています。
- 湖が堆積物をため込む
- その後、地殻変動により地面が持ち上がる
- 雨や風、雷雨による侵食が続く
この過程で湖は姿を消し、厚い石炭層が姿を現しました。地質の積み重なりが、そのまま時間の積み重なりでもあったのです。
太陽と雷が石炭を燃やし、ヤルダン地形が生まれる
五彩灘の物語がユニークなのは、石炭層のその後です。露出した石炭は、長い年月の中で雷の落雷や強い日射にさらされ、発火しました。燃え続けた石炭はやがて燃え尽き、その高温によって周囲の岩石が焼き固められます。
こうして残されたのが、現在見られる「焼結岩」と呼ばれる岩石です。焼き固められた岩は硬さや成分が場所ごとに異なり、その後の風や雨による侵食のされ方も変わっていきました。その結果、奇妙な形をした岩の群れが生まれ、それが五彩灘のヤルダン地形となっています。
ヤルダン地形とは何か
ヤルダン地形とは、主に風による侵食でつくられた地形を指します。風が長い時間をかけて柔らかい地層を削り、硬い部分だけが筋状・塊状に残ることで、自然の「彫刻」のような景観が生まれます。
五彩灘の北岸では、このヤルダン地形が立体的に重なり合い、谷や崖、岩の塔のような形が連続しています。そこに朝日や夕日が差し込むと、赤や黄、緑が強調され、まるで別の惑星の風景のようにも見えます。
色とりどりの岩は「鉱物のパレット」
五彩灘の大きな特徴が、その名の通りの「五色」、さらにはそれ以上の色合いです。岩石はさまざまな鉱物を含んでおり、その違いが色の違いとなって表れています。
- 赤や黄土色の層
- 淡い黄色やクリーム色の層
- ところどころに見られる緑がかった層
これらが層をなして重なり合うことで、五彩灘は「地球が描いた抽象画」のような景観になります。オンラインで写真を見るだけでもインパクトがありますが、実際には光の角度や天候によって見え方が変わり、一日の中でも表情が移り変わるとされています。
資源の宝庫というもう一つの顔
五彩灘周辺は、景観だけでなく、地下資源にも恵まれているとされます。地層の中には石油をはじめ、さまざまな鉱物資源が眠っています。
具体的には、次のような資源が確認されています。
- 石油
- 金
- メノウ
- 水晶
- 鉄
一つの場所が、自然景観としての価値と、資源としての価値の両方を持つという点は、現代の国際ニュースや経済の文脈ともつながります。観光、資源開発、環境保全という複数の視点が交わる場所として、五彩灘は象徴的な存在だと言えるでしょう。
数億年スケールで風景を眺めてみる
私たちはふだん、ニュースを日単位・年単位で追いがちですが、五彩灘のような地形は「数億年」という桁違いの時間の結果としてそこにあります。
かつて湖だった場所が、地殻変動で持ち上がり、石炭層となり、雷と太陽に燃やされ、最後に風と雨に削られて今の姿になる。その長いプロセスを意識すると、一枚の風景写真も「地球の記録」として見えてきます。
スマートフォンで世界のニュースや風景を手軽に見られる今だからこそ、画面の向こうにある時間の厚みや、自然が描いてきた壮大なプロセスにも、少し思いを巡らせてみたくなります。
Reference(s):
Five-colored beach, a Yardang landform born from sunlight and thunder
cgtn.com







