蝶にも巨大貝にも見える?深圳ファッション本社が示すグリーンデザイン最前線
中国本土の都市・深圳にあるファッションブランドの本社ビルが、環境に配慮したグリーンデザインの新たな象徴として注目を集めています。上空から見ると、蝶が羽を広げたようにも、巨大なシャコガイが都市の中で口を開いたようにも見える独特のフォルムが特徴です。
蝶か二枚貝か――見る人を驚かせる本社ビル
話題となっているのは、深圳にあるファッションブランドの本社です。都市の高層ビル群の中に現れたこの建物は、柔らかく広がる屋根と有機的な曲線によって、まるで生き物のような姿をしています。
特に目を引くのが、約5,000平方メートルにおよぶパビリオン(展示・交流スペース)です。上から見たシルエットが蝶や二枚貝を連想させることから、SNS上でも「バタフライ・ヘッドクォーター」「巨大クラム(貝)ビル」といった愛称で語られてもおかしくない存在感があります。
生物から着想を得た屋根と再生素材
この本社ビルのグリーンデザインを象徴するのが、生物の形態から着想を得た屋根です。屋根はリサイクル素材を用いて構成されており、単なる装飾ではなく、資源循環を意識した設計になっています。
「バイオロジー・インスパイア(生物学に着想を得た)なデザイン」は、自然界の構造や仕組みをヒントに建築を考えるアプローチです。例えば、
- 蝶の羽のように軽やかに広がる形で、光や風を効率よく取り込む
- 貝殻のような曲面で、外部からの力を分散し、構造を安定させる
といった工夫が、デザイン性と機能性の両立につながります。深圳のこの本社ビルでも、自然の形を思わせる屋根が、日射をやわらげ、屋外と屋内のつながりを生み出す役割を果たしていると考えられます。
竹を使った「再生可能な型枠」という発想
もう一つの特徴が、コンクリート工事に使う型枠に竹を用いている点です。型枠とは、流し込んだコンクリートが固まるまで形を支えるための仮の枠で、通常は合板や金属が使われます。
この本社ビルでは、その型枠を再生可能な素材である竹で代替する試みが行われています。竹は、成長が早く、繰り返し利用しやすいことから、環境負荷を抑えた建材として世界的に注目されています。
竹型枠の活用には、次のような意義があります。
- 木材や金属など、従来の資材使用量の削減につながる
- 再生可能な素材を使うことで、建設過程での環境負荷を軽減できる
- 竹特有のしなやかさや模様が、仕上がりの表情にも影響を与える可能性がある
建物が「完成した姿だけ」で環境配慮を語るのではなく、「つくるプロセス」から持続可能性を組み込もうとする姿勢が、この本社ビルの特徴だと言えます。
なぜファッション本社がサステナビリティを語るのか
環境負荷の大きさが指摘されてきたファッション産業において、本社ビルそのものをサステナブル(持続可能)なショーケースとする狙いは明確です。ブランドの世界観を表現する「顔」である本社を通じて、環境配慮への姿勢を視覚的に示すことができます。
深圳のこの本社ビルでは、
- 生物から着想を得た有機的なフォルム
- リサイクル素材を用いた屋根
- 竹を使った再生可能なコンクリート型枠
といった要素が組み合わさることで、「最先端デザイン」と「サステナビリティ」が一体となったメッセージを発信しています。オフィスで働く人だけでなく、訪れる人や周囲の市民にとっても、環境と都市の共存を考えるきっかけになる建築と言えるでしょう。
深圳発グリーンデザインが示すこれから
イノベーション都市として知られる深圳では、テクノロジーだけでなく、建築や都市デザインの分野でも新しい試みが次々と生まれています。今回のファッション本社ビルは、その一例として、「デザインのインパクト」と「環境配慮」の両立が可能であることを示しています。
特に、
- 建物の形やファサード(外観)でブランドの物語を語る
- 再生素材や再生可能な資材で、建設段階から環境負荷を下げる
- 広いパビリオン空間を、交流・展示・イベントの場として開き、社会との接点をつくる
といったアプローチは、今後のオフィスや本社ビルづくりにも影響を与えていきそうです。企業が「何をつくっているか」だけでなく、「どんな場所から発信しているか」も問われる時代に、この深圳のファッション本社は一つの答えを示していると言えるのではないでしょうか。
蝶にも巨大な貝にも見えるこの建物が、これからどのように街と人、そして環境をつないでいくのか。深圳発のグリーンデザインの動きは、日本を含むアジアの都市にとっても、注視すべきテーマになりつつあります。
Reference(s):
Butterfly or clam? Shenzhen fashion HQ redefines green design
cgtn.com








