中国のモウコノウマ保護:28頭を敦煌の自然保護区へ野生復帰へ video poster
絶滅の危機にあった野生馬モウコノウマが、中国で再び野生へ戻ろうとしています。中国の繁殖センターで生まれ育った28頭が、近日中に敦煌・西湖国家級自然保護区(Dunhuang Xihu National Nature Reserve)へ放たれる予定で、環境保護の国際ニュースとして注目されています。
絶滅寸前からのカムバック:モウコノウマとは
モウコノウマは、かつて野生個体が激減し、「絶滅寸前」とまで言われた野生馬の一種です。野生での姿がほとんど見られなくなった後も、動物園での飼育個体が細々と命をつないできました。
今回のニュースは、そのモウコノウマが「動物園の動物」から「野生に生きる群れ」へと戻っていく過程が、ひとつの節目を迎えたことを意味します。
中国の繁殖センターが築いた「野生に戻せる群れ」
中国各地の繁殖センターは、長年にわたってモウコノウマの保護と繁殖に取り組んできました。甘粛などにあるセンターでは、導入された動物園の個体を元に、数十年かけて群れを増やしてきました。
ポイントは次のような地道な取り組みです。
- 数十年に及ぶ継続的な飼育と健康管理
- 科学的なデータに基づく繁殖計画と個体管理
- 群れとして行動できるようにするための環境づくり
こうした「献身的なケア」と「科学的なマネジメント」によって、動物園由来の少数の個体から、野生復帰が可能な規模の群れへと増やすことに成功しました。2025年現在、中国はモウコノウマ保全において重要な役割を果たす存在になっています。
安定した再導入の源に:なぜ「繁殖センター」が重要なのか
今回の28頭の放獣が可能になった背景には、繁殖センターが「野生に戻す個体を安定的に供給できる段階」に達したことがあります。
繁殖センターが果たす役割は、単なる飼育ではありません。
- 遺伝的な多様性を保ちつつ個体数を増やす
- 野生環境に適応できる体力や行動特性を備えた個体を育てる
- 放獣後も追跡調査やモニタリングを行い、次の世代の保全計画に生かす
こうして整えられた「野生に戻せる群れ」があるからこそ、今回のようにまとめて28頭を自然保護区へ送り出すことができるのです。
敦煌・西湖国家級自然保護区へ:28頭の野生復帰
今回、野生復帰の舞台となるのが敦煌・西湖国家級自然保護区です。荒野や草地が広がるこの地域は、モウコノウマが本来の行動を取り戻すのにふさわしい環境として位置づけられています。
予定されている28頭の放獣には、次のような意味があります。
- 野生個体群を新たに形成し、種全体のリスクを分散する
- かつて失われた生態系の一部を回復させるきっかけになる
- 今後の再導入プロジェクトのモデルケースとなる
一頭一頭が、数十年にわたる人間の努力の結晶です。今回の放獣は「ゴール」ではなく、モニタリングや次の放獣へとつながる長いプロセスの新たなステージといえます。
なぜこの国際ニュースが「私たちごと」なのか
モウコノウマの再導入は、中国の自然保護の話であると同時に、地球規模の生物多様性の問題でもあります。ひとつの種が絶滅から持ち直すまでには、時間と資金、そして長期的な視野が欠かせません。
今回のニュースから、私たちが考えられるポイントは次の通りです。
- 時間軸の長さ:数十年単位で取り組む環境政策の重要性
- 科学と現場の連携:データに基づく管理と、日々の飼育・観察の積み重ね
- 国際的な文脈:野生動物の保全は、国境をこえた関心事であり、各国の取り組みが互いに影響し合う
2025年の今、気候変動や生物多様性の損失が深刻さを増す中で、「一度失いかけた種をどう守り、野生へ戻すのか」という問いは、他の多くの生き物や、将来の保全政策を考えるうえでも大きなヒントになります。
これからの注目ポイント
敦煌・西湖国家級自然保護区への再導入は、モウコノウマ保全の「次の章」の始まりでもあります。今後、注目したいのは次のような点です。
- 放たれた28頭が、新しい環境でどのように適応し、群れとして行動していくか
- 繁殖センターと自然保護区が連携し、どのようなモニタリング体制を敷くのか
- この成功例が、他の絶滅危機種の再導入プロジェクトにどのように生かされるのか
中国のモウコノウマ再導入は、野生動物の未来をめぐる一つの「実験室」であり、「希望の物語」でもあります。敦煌の大地を駆ける28頭の姿は、地球規模での環境保護の可能性を静かに物語っていると言えるでしょう。
Reference(s):
A new herd for the wild: China rewilds 28 Przewalski's horses
cgtn.com








