ダチョウ農家がライブ配信で大躍進 中国本土の農村から生まれた女性起業家 video poster
中国本土の農村で、ダチョウ農家を営む女性がライブ配信と電子商取引(EC)を武器に、72万人のファンと50の雇用を生み出しています。素朴な農場から生まれたこのビジネスは、農村振興と女性の活躍、そしてSNS時代の働き方を映し出しています。
ダチョウとスマホ2台 農場がそのままスタジオに
主人公は、中国本土の農村でダチョウを飼育する女性起業家、Zhan Yun(ジャン・ユン)さんです。彼女は自らの手でスマートフォン2台を棒に固定し、靴下と輪ゴムで支えるという、とてもシンプルな仕組みでライブ配信のスタジオをつくっています。
配信の舞台は、普段どおりの農場。そのなかでジャンさんはキャベツの丸ごと1個を手に持ち、ダチョウたちが首を伸ばしてついばむ様子を映し出します。視聴者は、画面いっぱいに迫るダチョウと、飾らない語り口のジャンさんを同時に楽しみながら、彼女が販売するダチョウの羽のはたきに興味を持っていきます。
この何気ない日常の光景が、動画アプリ「抖音(Douyin)」で人気を集め、彼女のビジネスを大きく押し上げました。
フォロワー72万人、1日5,000本 数字が示すライブコマースの力
ジャンさんのアカウント名は「Tuo Feifei(飛ぶダチョウたち)」という意味合いのニックネームで親しまれています。いまやそのフォロワーは約72万人に達し、農場発の小さなビジネスは、着実に電子商取引の「上位層」に食い込む存在となっています。
- フォロワー数:約72万人
- ダチョウの羽のはたき生産量:1日約5,000本
- 創出した雇用:地元の人々およそ50人(中心は女性)
フォロワーの増加とともに注文も増え、需要に応えるために1日約5,000本のはたきを生産する体制が整いました。農場から世界へ直接つながるライブコマースが、地域の手仕事を支えるインフラになっていると言えます。
女性が主役の、地域密着ビジネス
このビジネスの特徴は、「女性主導」「女性運営」であることです。ジャンさん自身が企画から発信、販売までを担うだけでなく、地元で新たに生まれた50の仕事の多くが女性たちによって支えられています。
農村部では、家族のケアや家事との両立から、外に働きに出ることが難しい人も少なくありません。羽のはたきづくりのような作業は、地元でできる手仕事として、柔軟な働き方を可能にします。
ジャンさんの取り組みは、単なる個人の成功物語にとどまらず、「地域の女性が主役になるビジネスモデル」としても注目できます。
農村振興とデジタル化が交わる場所
ジャンさんの事例は、中国本土で進む農村振興の一つのかたちでもあります。広い農村地域では、若者の流出や雇用の不足が長年の課題でしたが、スマートフォンと動画配信アプリが、その構図を少しずつ変えています。
ポイントは、特別な設備や巨額の投資ではなく、すでにある資源を生かしていることです。
- 地域にあるもの:ダチョウ、羽、農場という日常の風景
- 手の届く技術:スマートフォンと動画アプリ
- 自分ならではの視点:飾らない人柄と、ダチョウとの掛け合い
この組み合わせが、農村から都市部、さらには海外の視聴者へと物語を届け、結果として地域経済を支える新しい流れをつくっています。
日本の私たちへのヒント
ジャンさんのストーリーは、国境を越えて考えるきっかけを与えてくれます。日本でも地方創生や地域ビジネスが課題となるなか、そこにはいくつかの示唆があります。
- 完璧な設備よりも、「今あるもの」で始める発想
- 商品そのものだけでなく、「人」と「物語」を一緒に届ける工夫
- 女性や地域の人々が参画しやすい、小さくても持続可能な仕事づくり
ダチョウ農家から生まれたライブコマースの成功は、SNS時代の国際ニュースとしてだけでなく、「身近なビジネスをどうアップデートするか」を考える材料にもなります。スマートフォン一つから始まる新しい働き方を、私たちも自分ごととして捉え直してみるタイミングなのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








