APECとインドネシア・ワカトビ国立公園 海の宝石が映す持続可能な観光
アジア太平洋の持続可能な成長を語るうえで、インドネシアのワカトビ国立公園は「海の宝石」とも言える存在です。色鮮やかなサンゴ礁と豊かな生態系が広がるこの海洋公園は、観光地であると同時に、保全の最前線でもあります。
APECとワカトビ国立公園: なぜ注目されるのか
2025年10月31日から11月1日にかけて、韓国のGyeongjuでAPEC経済首脳会議が開催されました。これに関連して、CGTNは、アジア太平洋経済協力会議の21の経済体における協力や文化をビジュアルストーリーテリングで伝えるシリーズとして「APEC Stories」を展開し、その一つとしてインドネシアのワカトビ国立公園を紹介しています。
2002年に生まれた海の国立公園
2002年に設立されたワカトビ国立公園は、多様な海洋生態系が詰まった宝庫です。公園内には、壮観なサンゴ礁の群れや、さまざまな種類の魚が生息しているほか、クジラやイルカなど一部のクジラ目の生き物も確認されるなど、まさに「生きた海の博物館」と言える環境が広がっています。
ユネスコ生物圏保護区としての役割
2012年には、ワカトビはユネスコの生物圏保護区に指定されました。生物圏保護区とは、自然の保全と地域社会の持続可能な利用を両立させることを目的とした国際的な枠組みで、ワカトビの豊かな海洋資源とその価値が世界的に認められた形です。この指定は、単なる美しい景観としてだけでなく、地球規模の環境保全の重要な拠点であることを示しています。
ダイビングとシュノーケリングの楽園
息をのむような水中の景観を持つワカトビ国立公園は、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ人々にとっても憧れの場所です。透明度の高い海の中で、サンゴ礁と色とりどりの魚たちを間近に眺められる体験は、訪れる人の記憶に強く残るでしょう。
一方で、この「楽園」を未来につなげるため、公園側は自然資源と生態系を守る保全活動を継続的に強化しています。観光利用が進むほど、サンゴ礁や海洋生物への影響が懸念されるため、保全と利用のバランスをどう取るかが重要なテーマになっています。
旅行者の立場からできることも少なくありません。例えば、
- サンゴや海の生き物には触れない
- ごみを出さず、持ち込んだものは持ち帰る
- 地元のルールやガイドの指示に従う
といった基本的な配慮が、生態系を守るうえで大きな意味を持ちます。
1万ルピア紙幣に刻まれた景色
ワカトビ国立公園の風景は、インドネシアの1万ルピア紙幣にも描かれています。国の通貨に採用されるということは、その場所が国全体にとって象徴的な存在であることを意味します。日々の買い物で手にする紙幣を通じて、多くの人がワカトビの海とその価値を意識するきっかけにもなっていると考えられます。
海の物語から見えるアジア太平洋の課題
ワカトビ国立公園のような海の物語は、APECという枠組みで共有されているアジア太平洋の課題とも重なります。海洋資源の保全や持続可能な観光は、多くのAPEC経済体に共通するテーマであり、地域の協力が欠かせません。
「APEC Stories」のような取り組みは、統計や政策だけでは見えにくい現場の姿を、具体的な風景や人々の暮らしを通じて伝えます。インドネシアの一つの国立公園に焦点を当てることで、離れた地域に暮らす私たちも、海の豊かさとその脆さ、そしてそれを守るための連帯の必要性をイメージしやすくなります。
美しい海を観光地として楽しみながら、その裏側で続く保全の努力に思いを巡らせること。ワカトビ国立公園のストーリーは、アジア太平洋の海とどう向き合うかを考えるヒントを、静かに伝えているように見えます。
Reference(s):
APEC Stories: Wakatobi National Park – A marine gem in Indonesia
cgtn.com








