APECと姉妹都市 重慶と仁川がつなぐサッカーと若者交流
2025年のAPEC首脳会議(APEC Economic Leaders Meeting)が韓国の慶州で開かれた今年、アジア太平洋のつながりは首脳同士の外交だけでなく、都市と都市、そして若者同士の交流によっても静かに深まっています。その一つが、中国西南部の重慶市と韓国・仁川の姉妹都市関係です。
重慶と仁川 2007年から続く姉妹都市の絆
重慶市は中国西南部の重要な経済・文化の拠点であり、内陸部から外へとつながるハブとして存在感を高めてきました。一方の仁川は、韓国で三番目の規模を持つ都市であり、空港や港湾を抱える交通の要衝です。
この二つの都市は、2007年に姉妹都市提携を結びました。以来、次のような分野で交流を積み重ねてきました。
- 貿易やビジネス交流
- 観光分野での連携や誘致活動
- 文化イベントや芸術交流
- 学校同士の連携など教育分野での協力
- その他、行政や市民レベルでのさまざまな交流
国家間の外交とは別に、都市同士が長期的に関係を築くことで、企業や学校、市民にとっても具体的なつながりが生まれるのが姉妹都市の役割です。
今年7月 若者サッカー交流で一歩前へ
重慶と仁川は、経済や観光だけでなく、次の世代を担う若者の交流にも力を入れています。今年7月(2025年7月)、重慶からは3つのユースサッカーチームが仁川を訪問しました。仁川観光公社の招きによる交流イベントで、スポーツを通じて両都市の若者同士が出会う機会となりました。
この取り組みは、二つの国の若者の間で、次のような狙いを持つ新たな試みとして位置づけられています。
- サッカーという共通の競技を通じて、言葉の壁を越えたコミュニケーションを促す
- 互いの生活や文化への理解を深め、ステレオタイプを和らげる
- 将来の留学やビジネスにつながる人的ネットワークの芽を育てる
グラウンドでボールを追いかける時間は短く見えても、同世代と直接ふれ合った経験は、その後の進路選択や世界観に長く影響を与えます。そうした意味で、ユース世代のスポーツ交流は、人と人を結び付ける「小さな外交」と言えるでしょう。
APECの年に考える ローカルな交流が持つ意味
2025年のAPEC首脳会議は、アジア太平洋の21のAPECメンバーが集い、経済や気候変動、デジタル化など幅広いテーマを議論する場となりました。しかし、首脳レベルの合意だけでは、地域の相互理解や信頼はすぐには生まれません。
重慶と仁川のような都市同士の長期的な関係や、今回のユースサッカー交流のような草の根の取り組みは、次のような点で重要性を持っています。
- 合意や協定を、市民の具体的な経験として「見える化」する
- 政治状況に左右されにくい、人と人のつながりを蓄積できる
- 将来、両国関係を担う世代に、地域全体を俯瞰する感覚を育てる
国際ニュースでは首脳会談や大きな合意に注目が集まりがちですが、その足元では、こうしたローカルな交流が静かに積みあがっています。
これから広がる可能性 日本の読者への視点
重慶と仁川の姉妹都市関係は、今後もスポーツだけでなく、観光やスタートアップ支援、環境対策など、さまざまな分野に広がっていくことが期待されます。ユース交流が軌道に乗れば、共同トーナメントや文化イベント、オンライン交流など、新たな形の連携も生まれるかもしれません。
日本の都市も、アジア太平洋の多くの都市と姉妹都市や友好都市の関係を持っています。次のような視点でニュースを追うと、地域の動きが立体的に見えてきます。
- 首脳会談だけでなく、都市や自治体同士の交流に注目してみる
- スポーツや文化イベントが、どんな国際関係の文脈と結びついているかを意識する
- 自分の住む地域が、どの海外都市とつながっているかを調べてみる
重慶と仁川の事例は、アジア太平洋が「遠い世界」の話ではなく、若者や市民レベルの経験として近づいてきていることを示しています。APECの年が終わりに近づく今こそ、こうしたローカルな物語に目を向けることで、国際ニュースの見え方も少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
APEC Stories: Chongqing, Incheon continue their sister-city journey
cgtn.com








