中国国際輸入博覧会で中国の味に挑むマスターショコラティエ video poster
上海で開かれた中国国際輸入博覧会(China International Import Expo、CIIE)に、世界的なマスターショコラティエが登場しました。中国の人びとの味の好みから着想を得て、新しいチョコレートを生み出そうとする試みは、国際ニュースとしても「グローバル×ローカル」戦略のヒントにあふれています。
上海CIIEに集う「売り手・買い手」だけではないプロたち
中国国際輸入博覧会は、巨大な商談の場であると同時に、各分野のトッププロフェッショナルが集まる「ショーケース」の役割も担っています。2025年に上海で開かれた博覧会にも、メーカーやバイヤーだけでなく、一流のシェフや職人、ブランド責任者が多数参加しました。
CGTNの番組「CEO's China Journal」が今回取り上げたのは、その中の一人であるマスターショコラティエです。彼はこの博覧会のために中国本土(中国)を訪れ、現地の人びとの嗜好を直接感じ取りながら、新しいチョコレートの可能性を探っています。
ビジネスの場から「アイデアの実験場」へ
番組のエピソードによると、このショコラティエがCIIEに足を運んだ目的は、単なる販売や商談だけではありません。ブースを訪れる来場者と対話し、その反応を見ながら、商品アイデアをその場で磨き上げていく「実験の場」として博覧会を活用しているのです。
こうした姿勢は、国際展示会の意味合いが変化していることも示しています。かつてはカタログやサンプルを並べる場所だった展示会が、今では次のような機能を持つようになっています。
- 市場調査の最前線として、消費者の生の声を聞く場
- ブランドの物語や価値観を直接伝えるコミュニケーションの場
- 新商品や新サービスの「プロトタイプ」を試す実験の場
このショコラティエの活動は、CIIEがまさにこうした新しい役割を体現する舞台になっていることを示していると言えるでしょう。
中国の味覚が生む、新しいチョコレート像
では、中国の味覚は、どのようにチョコレートづくりに影響しているのでしょうか。番組がフォーカスしたのは、次のようなポイントです。
- 甘さのバランス: 砂糖を強くきかせた「しっかり甘い」タイプだけでなく、素材の香りを生かした控えめな甘さへの関心が高まっていること
- 香りと食感: 一口で複数の香りや食感が楽しめる構成が好まれ、ナッツやフルーツ、香辛料などの組み合わせに可能性があること
- 健康志向: カカオ含有量や原材料へのこだわりが、ギフト選びの新しい判断基準になりつつあること
ショコラティエは、こうした傾向を踏まえながら、茶葉や果実、花の香りなど、多様な素材をチョコレートと組み合わせるアイデアを試みていると紹介されました。中国の人びとの味覚に寄り添いながらも、自身の技術や美意識をどう生かすか。そのバランスを探るプロセスこそが、国際的な食のコラボレーションの醍醐味です。
CGTN「CEO's China Journal」が切り取る視点
CGTNの「CEO's China Journal」は、海外の経営者やプロフェッショナルが、中国本土(中国)の市場とどのように向き合っているかを追うシリーズです。今回は、経営者というより「職人」としての視点に光を当てた回と言えます。
番組では、ショコラティエがブースで来場者にチョコレートを手渡し、表情やコメントから反応を読み取る様子や、現地のパートナーと意見を交わしながらフレーバーの方向性を考える姿が描かれました。そこから浮かび上がるのは、次のようなメッセージです。
- 「世界に通用する定番」を押しつけるのではなく、現地の声を聞きながら一緒に形をつくること
- 市場参入を「テストマーケティングの連続」ととらえ、小さく試しながら学ぶ姿勢を持つこと
- 文化や味覚の違いをリスクではなく、創造性の源泉として受け止めること
こうした姿勢は、飲食業に限らず、さまざまな分野のビジネスにも共通するヒントになりそうです。
日本企業・クリエイターへのヒント
このニュースは、日本から中国本土(中国)を含む海外市場に挑戦する企業やクリエイターにとって、いくつかの示唆を与えてくれます。
- 1. 展示会を「学びの場」として設計する
出展そのものをゴールにするのではなく、「どんな反応が得られれば成功か」「何を学びたいのか」をあらかじめ定めておくことで、ブースがデータと洞察の宝庫になります。 - 2. ローカルパートナーと一緒に試作する
現地のバイヤーやクリエイター、消費者コミュニティと協力しながら、小ロットでも良いので試作品をつくり、反応を確かめるプロセスが重要です。 - 3. 「らしさ」と「現地らしさ」を両立させる
ブランドの核となる世界観は守りつつ、味やデザインなどの表現部分は柔軟に現地仕様へとアレンジする。そのバランス感覚が、長期的な信頼につながります。
「おいしい」は共通語、だからこそ多様に
マスターショコラティエが上海の中国国際輸入博覧会で示したのは、「おいしい」という共通の価値を軸にしながらも、文化や土地ごとの個性を尊重する姿勢でした。
国際ニュースの一コマとして見れば小さな出来事かもしれませんが、そこには次のような大きな問いが含まれています。「グローバルに展開するとは、誰のために、どのように商品やサービスをつくることなのか」。
中国の味覚にインスパイアされたチョコレートづくりの試みは、日本を含む世界の企業にとって、ローカルと向き合うことの重要性をあらためて考えさせてくれます。日々のニュースを追いながら、こうした視点を少しだけ頭の片隅に置いておくと、次のビジネスチャンスの見え方も変わってくるかもしれません。
Reference(s):
Master chocolatier inspired by Chinese tastes for new creations
cgtn.com








