ユネスコ登録の古代楽器「曾侯乙編鐘」 湖北の至宝が語る2400年の響き video poster
2025年にユネスコの「Memory of the World Register(世界の記憶)」に登録された湖北省の至宝「曾侯乙編鐘」。2400年以上前の音が、今も生きた音楽として響き続けています。
湖北を代表する文化財「曾侯乙編鐘」とは
「曾侯乙編鐘」は、中国湖北省にゆかりのある古代の大型楽器で、青銅製の編鐘(へんしょう/一組の鐘を並べた打楽器)のセットです。1978年、封建王であった曾侯乙(そうこういつ)の墓から発掘されました。
この墓は、曾侯乙が2400年以上前に埋葬されたとされるもので、そこから出土した編鐘は総重量が4トンを超える大規模なものです。その規模と保存状態の良さから、同種の遺物の中で「最大かつ最も保存状態が良い」存在と評価されています。
「編鐘の王」と呼ばれる理由
曾侯乙編鐘は、その圧倒的なスケールと完成度から、「King of Chime Bells(編鐘の王)」とも称されています。一つひとつの鐘が緻密に調律され、全体として壮大な音階を奏でることができる点が特徴です。
注目すべきは、2400年以上の時を経た現在でも、実際に演奏が可能な状態で残っていることです。単なる考古学的遺物にとどまらず、「今も音を鳴らせる」生きた楽器として、古代の音楽文化を体感させてくれます。
ユネスコ「世界の記憶」に登録された意味
曾侯乙編鐘は、2025年にユネスコの「Memory of the World Register(世界の記憶)」に登録されました。これは、人類共通の歴史や記憶を伝えるうえで重要な記録や資料を保護し、継承していくことを目的とした国際的なリストです。
湖北の至宝であるこの編鐘が「世界の記憶」として登録されたことは、地域の文化遺産が世界的な視野からも価値を認められたことを意味します。古代の楽器でありながら、音楽・歴史・技術が結びついた複合的な文化財として位置づけられたと言えるでしょう。
古代の「金石の楽」が現代に響く
曾侯乙編鐘が奏でる音楽は、かつて「金石の楽」と呼ばれました。これは、金属製の楽器と石製の楽器が織りなす、荘厳で奥行きのある響きを指す言葉です。
この編鐘が今も演奏できるという事実は、2400年以上前の人びとがどのような音を美しいと感じ、どのような技術で楽器を作り上げていたのかを、現代の私たちが耳で確かめられるということでもあります。
なぜ今、この古代楽器に注目したいのか
デジタル技術が発達した2025年の今、2400年以上前の楽器が、ほぼ当時のままの音色で響き続けているという事実は、時間感覚を大きく揺さぶるものがあります。曾侯乙編鐘は、次のような問いを私たちに投げかけているようにも見えます。
- 「音楽」や「美しさ」の感覚は、どこまで時代や地域を超えて共有できるのか
- 技術や芸術は、どのようにして長い時間を生き延びるのか
- 私たちは、いま創り出している文化をどのような形で未来に残していけるのか
湖北の大地から発見された曾侯乙編鐘は、単なる古代の遺物ではなく、現代に生きる私たちの感性や想像力を静かに刺激する存在です。ニュースとしての出来事であると同時に、「時間を超えて受け継がれる音とは何か」を考えるきっかけにもなっています。
Reference(s):
cgtn.com








