北京・首鋼園 廃工場から文化ランドマークへ生まれ変わる都市再生 video poster
旧製鉄所から北京の新名所へ──首鋼園とは
北京の石景山(シージンシャン)区に位置する首鋼園は、かつての大規模な製鉄所跡地を再生したエリアです。煙突や高炉、倉庫などの工場設備が並んでいた場所が、今は住民と観光客のための、緑が多く歩きやすい空間へと変わりつつあります。
重厚な産業景観と、公園のように開かれた空間が同居する首鋼園は、北京の都市再生を象徴するプロジェクトのひとつとして注目されています。
北京2022冬季オリンピックで世界に知られたビッグエア
首鋼園が世界的に知られるようになったきっかけは、2022年の北京冬季オリンピックです。敷地内に設けられたスキー・スノーボードのビッグエア台は、大会の象徴的な風景として、多くの人の記憶に残りました。
工場の高炉や煙突を背景に選手がジャンプする姿は、「かつての製鉄所がスポーツと文化の拠点へ変わっていく」という首鋼園全体のコンセプトをわかりやすく伝える存在でした。大会後も、このエリアではスポーツイベントや文化イベントが行われ、観光とレジャーの場として活用が続いています。
壊さずに生かす──産業遺産を利用した再開発
首鋼園の都市再生で特徴的なのは、古い建物や構造物を単に撤去するのではなく、「資産」として残し、用途を変えている点です。高炉や煙突、倉庫はシンボルとして保存され、デザイン照明や景観設計によって、エリアならではの個性を生み出しています。
その一方で、歩行者向けの通路やオープンスペースが整えられ、スポーツ施設、イベントスペース、オフィス、文化施設などが加わることで、かつての工場は「働く場所」から「滞在し、楽しみ、学ぶ場所」へと再定義されています。
- 産業遺産を残しつつ、新しい機能を重ねるアプローチ
- 観光・スポーツ・文化を組み合わせた複合エリア
- 周辺の住民にとっても、散歩や憩いの場として身近な存在
より緑豊かで歩きやすい空間へ
工業地帯だった場所を、環境に配慮した空間へ転換することは、多くの都市が共通して取り組むテーマです。首鋼園では、緑地や水辺エリアを増やし、歩行者や自転車にやさしい動線を設けることで、より快適で人中心の環境づくりが進められています。
「工場跡=使い終わった土地」ではなく、「工場跡=これからの暮らし方を試す場所」として位置づけ直すことで、産業都市としての歴史と、環境配慮型の未来像をつなごうとしている点が特徴です。
日本の都市再生への示唆
日本でも、港湾エリアや鉄道貨物駅、工場跡地などの再開発が各地で進んでいます。北京の首鋼園の動きは、これからの都市づくりを考えるうえで、いくつかのヒントを与えてくれます。
- 歴史的な構造物を「壊すか残すか」ではなく「どう生かすか」で考える
- 観光客だけでなく、地域の人々が日常的に使える場所にする
- スポーツや文化イベントを通じてエリアの魅力を発信する
2020年代に入り、世界の都市は「工業中心」から「サービス・文化・テクノロジー中心」へと姿を変えつつあります。2025年の今、首鋼園は、こうした流れの中で、旧産業地帯の再生モデルの一つとして注目される存在です。古い工場の風景を残しながら、新しい都市生活のかたちを模索する試みは、日本の都市再生を考える際にも参考になりそうです。
Reference(s):
Beijing untapped: From former industrial site to cultural landmark
cgtn.com








