海南省ラアオメン祭り リー族文化と自由貿易港が交差する収穫の祭典
中国・海南島の山あいで開かれるラアオメン祭りは、リー族の農耕文化を祝う収穫祭であり、自由貿易港として姿を変えつつある海南の「今」を映し出しています。
ラアオメン祭りとは何か
ラアオメン祭りは、海南島の高地に位置する白沙リー族自治県で毎年、収穫期に合わせて行われる祭りです。会場には、山の暮らしに根ざした農耕儀礼や歌と踊りが集まり、訪れた人々はリー族の世界観に触れることができます。
今年の祭りでは、収穫を祈る儀式や、山の斜面を切り開いて畑を作る様子の再現、香り高いシャラン米を使ったロングテーブル形式の宴などが行われています。単なる観光イベントではなく、土地に根付いた農耕の知恵と感謝の気持ちを共有する場になっています。
二つの会場が映す「伝統」と「未来」
伝統会場:農耕の営みをそのままに
一つ目の会場は、リー族が受け継いできた農耕のあり方をできるだけそのままの形で伝えることに力を入れています。山の地形を生かした畑づくりや、道具の使い方、豊作を祈ることばや歌が、実演や語りを通じて紹介されています。
来場者は、土に触れながら作業を体験したり、地元の人々と一緒に食卓を囲んだりすることで、農業が単なる生産活動ではなく、家族や集落のつながりを支える「暮らしそのもの」であることを実感できます。
テクノロジー会場:物語を世界へ届ける工夫
二つ目の会場は、没入型のデジタル技術や創造的な展示を組み合わせ、リー族の物語を現代的な演出で伝える場として設計されています。映像や音響、インタラクティブな仕掛けを通じて、山の暮らしや祭りの意味が、子どもから大人まで直感的に理解できるように工夫されています。
来場者は、デジタル展示の中で過去の農耕風景をたどったり、文化公演と連動した演出を楽しんだりしながら、何世代にもわたって受け継がれてきた記憶とストーリーに触れていきます。
自由貿易港としての海南とローカル文化
海南島は、国際的な自由貿易港としての機能を高める取り組みを進めており、観光やサービス産業の拠点としても注目されています。その一方で、地域の文化や暮らしをどう守り、どのように世界と共有していくかが重要なテーマになっています。
ラアオメン祭りは、その問いに対する一つの答えを示しているように見えます。リー族の農耕文化を前面に出しつつ、デジタル技術やクリエイティブな展示を活用することで、外から訪れた人々にも分かりやすく、魅力的な形で伝えようとしているからです。
「根を守りながら開く」ためのヒント
ローカルな文化を守ろうとするとき、「外の目を意識するほど本来の姿から離れてしまうのではないか」という悩みが生まれがちです。ラアオメン祭りの二つの会場は、その緊張関係をあえて並べて見せることで、伝統と変化の両方を引き受けようとしているように映ります。
- 一方では、山と共にある生活や祈りを、そのままの形で体験してもらう。
- 他方では、ストーリーを分かりやすく編集し、デジタル技術で可視化して共有する。
このバランスの取り方は、情報発信に悩む多くの地域やコミュニティにとっても、参考になるかもしれません。どこまで「そのまま」を残し、どこから「伝わる形」に変えていくのか。海南の山あいで開かれるラアオメン祭りは、その問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








