海南Bai Cha Villageで黎族文化を守る船型家屋81棟の物語
中国・海南のDongfang CityにあるBai Cha Villageでは、黎(Li)族の伝統的な船型家屋81棟が守られています。海南が国際自由貿易港として世界とのつながりを強めるなか、この村の文化遺産保護は、国際ニュースとしても注目すべき動きです。
海南・Dongfang Cityに残る黎族の伝統集落
Bai Cha Villageは、海南のDongfang Cityに位置し、黎族の暮らしと文化が色濃く残る村です。ここには、ひっくり返した船のような独特の形をした船型家屋が81棟残されており、集落全体が黎族文化を今に伝える場となっています。
これらの船型家屋は、国家級の無形文化遺産として位置付けられており、近代的な開発が進むエリアの中で、少数民族文化の価値を静かに、しかし力強く示しています。
船型家屋が物語る数百年分の生活の知恵
Bai Cha Villageの船型家屋は、その名の通り、ひっくり返した船のような外観をもつ独自の建築様式です。このユニークな形は、単なる見た目の特徴ではなく、黎族の人びとが長い年月をかけて育んできた生活の知恵を象徴しています。
ひっくり返した船という発想
家屋が「船」の形をしていることは、黎族の歴史や自然との関わりの深さを物語っています。海や川とともに生きてきた人びとの記憶が、住まいの形そのものに刻まれていると言えるでしょう。
屋根から壁にかけてのなめらかな曲線は、風雨をしのぎ、暑さや湿気に耐えるための工夫とも結び付いていると考えられます。こうした工夫が積み重なって生まれた建物が、村全体で81棟も残されていること自体が、大きな文化資産です。
無形文化遺産としての価値と「生きた博物館」
Bai Cha Villageは、船型家屋が国家級の無形文化遺産として保護されているだけでなく、村全体が黎族文化の「生きた博物館」として機能しています。
建物だけでなく、日々の暮らしや祭り、言葉や慣習など、目に見えるものと見えないものが一体となって文化を形づくっています。観光客は、単に古い家屋を見学するのではなく、こうした生活文化の空気を丸ごと体験することになります。
訪問者を招き入れるオープンな文化空間
村は、海南が国際自由貿易港として世界に開かれていく流れの中で、外からの訪問者を迎え入れる文化の窓口にもなっています。Bai Cha Villageは、黎族文化を押し込めて守るのではなく、開かれたかたちで伝えようとしている点で、「生きた博物館」と呼ぶにふさわしい存在です。
ここを訪れる人にとって、船型家屋は単なる観光スポットではなく、多様な文化が共存する現代の中国を理解する手がかりにもなります。
近代化と伝統は両立できるか
海南では現在、国際自由貿易港としての開発が進み、物流や投資、人の往来が今後さらに活発になることが期待されています。その一方で、少数民族の村や伝統的な暮らしをどう守り、次世代につないでいくかは、大きなテーマとなっています。
Bai Cha Villageは、この問いに対するひとつの具体的な答えを示しています。現代的な開発のただ中で、黎族の文化と船型家屋の保護を進めることで、「成長か、保護か」という二者択一ではなく、「成長と保護の両立」という選択肢が現実的であることを可視化しているからです。
観光と保全のバランスをどう取るか
文化遺産が注目を集めると、観光客が増え、地域経済の支えとなる一方で、過剰な開発によって本来の魅力が損なわれるリスクも生まれます。Bai Cha Villageについても、いかにして船型家屋や村の雰囲気を壊さず、訪問者を受け入れていくかが重要な課題です。
家屋の保存状態を保ちながら、住民の生活を尊重し、訪問者にも黎族文化の背景をていねいに伝える仕組みづくりが求められます。観光収入が、村の保全や次世代の担い手育成にきちんと回るかどうかも、持続可能性を左右するポイントです。
2025年の視点で見るBai Cha Villageの意味
2025年現在、海南が国際自由貿易港としてグローバルな注目を集めるほど、Bai Cha Villageのような場所の意味は増しています。世界とつながるほど、その土地固有の文化が「何を大切にしてきたのか」を語る役割が重要になるからです。
黎族の船型家屋81棟は、過去の遺物ではなく、現在進行形の物語の一部です。グローバル化が進む時代に、地域の文化がどのように自らの姿を保ちつつ変化していけるのか。この村は、そのプロセスを目に見えるかたちで示していると言えます。
日本の読者にとってのヒント
日本各地にも、古民家や伝統的な集落、地域固有の祭りや言葉など、多くの文化資源があります。人口減少や都市への一極集中が進むなかで、それらをどう守り、どのように外に開いていくかは、日本社会にとっても避けて通れないテーマです。
Bai Cha Villageの事例は、「文化を守ること」と「開かれること」が両立しうることを、具体的なイメージとして私たちに示してくれます。海南が世界の舞台に歩み出す今、黎族の船型家屋をめぐる取り組みは、日本の地域づくりや観光の在り方を考えるうえでも、多くの示唆を与えてくれるのではないでしょうか。
静かな村が映し出す、アジアのこれから
国際自由貿易港としてのダイナミックな開発と、黎族の船型家屋という静かな文化遺産。その両方を抱え込むBai Cha Villageは、アジアの多様性と未来の姿を凝縮したような場所です。
経済成長と文化の継承は、対立するものではなく、互いを支え合う関係にもなり得ます。Bai Cha Villageで進む取り組みは、その可能性を一つの村のスケールで見せてくれる、小さいけれど重みのあるニュースだと言えるでしょう。
Reference(s):
Bai Cha Village: Preserving ethnic Li heritage in Hainan's new era
cgtn.com








