中国本土・山西省「飛雲楼」──木組みの美が語る、過去と現在の橋渡し video poster
中国本土・山西省運城にある「飛雲楼(Feiyun Pavilion)」が、伝統木造建築の“技”と“意匠”を同時に感じられる建築として注目されています。重なり合う軒が翼のようにせり上がり、精緻な木組みが静かな迫力を生む――いま改めて、地域の記憶を宿す建築の価値が問い直されています。
飛雲楼とは:目を引くのは、空へ向かうような「重層の軒」
飛雲楼は、伝統的な中国木造建築の魅力を凝縮した存在として語られます。とりわけ印象的なのが、幾重にも重なる軒(のき)が上へ上へと流れるように反り、全体が軽やかに立ち上がって見える点です。
写真や動画では「形の美しさ」が先に届きがちですが、現地で建築を前にしたときに浮かび上がるのは、意匠が単独で存在しているのではなく、構造と一体になって成立しているという感覚です。
柱と梁を“噛み合わせる”技術:ほぞ・仕口が支える木造の合理性
飛雲楼の説明で欠かせないのが、ほぞ・仕口(mortise-and-tenon joints)に代表される木組みの技術です。金属の部材に頼り切らず、木材同士を精密に加工し、噛み合わせて強度を生む――そこには、材料の性質を読み切った職人技がにじみます。
「複雑=装飾的」と見られやすい部分も、木造建築では荷重の受け方や揺れへのしなやかさと結びついています。見た目の優雅さと、構造としての理屈が重なる点が、伝統木造の面白さでもあります。
建物以上の存在へ:地域の歴史を抱える“文化の象徴”
飛雲楼は、単なる建築物というより、地域の歴史や記憶を保ち続ける文化的な目印として位置づけられています。暮らしの時間が重なっていく土地では、建物は「背景」になりながらも、ときに人々の価値観や誇りを形づくります。
過去を保存するだけではなく、現在の視点で読み直され、語り直される。そうして初めて、建築は“過去と現在をつなぐ橋”として生き続けるのかもしれません。
2026年のいま、なぜ木造建築が気になるのか
2026年1月現在、短尺動画や写真共有を通じて建築の魅力が広がりやすくなりました。一方で、画面越しに美しいだけでは終わらず、「なぜこの形なのか」「どうやって成立しているのか」と一段深く知りたくなる人も増えています。
飛雲楼のような建築は、次のような“見る視点”を与えてくれます。
- 意匠:軒の重なりが生むリズム、上へ流れる輪郭
- 構造:木組みが力を受け渡す考え方(ほぞ・仕口)
- 文化:建物が土地の物語を背負い、更新されていくこと
派手な結論は出ません。ただ、ひとつの建築を丁寧に眺めることが、時間の捉え方や「残す」という行為の意味を、静かに揺らしてくれる――飛雲楼が語るのは、そんな種類のニュースでもあります。
Reference(s):
cgtn.com








