メキシコの若者が見た中国と女性の権利 APECペルー会合への期待 video poster
メキシコの若者が選んだ「中国法」という道
アジア太平洋のAPECメンバーであるメキシコから、中国の首都・北京に渡った若者がいます。モライマ・オルドニェスさんは現在、北京大学で中国法の修士課程に在籍し、中国社会と文化、そして女性の権利をテーマに学びを深めています。
モライマさんが中国に関心を持ち始めたのは10代の頃でした。大学では、メキシコと中国それぞれの「女性の権利保護」に関する法律を比較する研究に取り組みましたが、スペイン語でアクセスできる中国関連の情報は十分とは言えませんでした。その「情報の空白」を埋めるため、彼女は自ら中国に渡る決断をしたといいます。
メキシコと中国をつなぐ「女性の権利」という視点
モライマさんの関心の中心にあるのは、メキシコと中国の女性が直面する課題と、それに対して法律がどのように応えているかという点です。家庭内暴力、職場での差別、出産や子育てとキャリアの両立など、テーマは両国に共通するものが少なくありません。
法制度の違いはあっても、「女性の安全と尊厳を守る」という目標は共通しています。メキシコ出身の若者が中国法を学ぶことは、二つの社会をつなぐ「翻訳者」としての役割を果たす試みとも言えます。
中国の近代化を現場で見るという経験
留学生活の中で、モライマさんは複数の中国・メキシコ友好プロジェクトにも参加してきました。そこで目にしたのは、統計やニュースだけでは見えてこない、中国の近代化の姿です。
急速に発展する都市インフラやデジタルサービスだけでなく、地域社会でのボランティア活動や文化交流の場など、「人と人のつながり」に支えられた変化にも触れたといいます。メキシコと中国の文化の間に、家族を大切にする価値観や、食を囲んで人が集まる習慣など、多くの共通点があることも実感しました。
「遠い国」が身近になるプロジェクト
中国・メキシコ友好プロジェクトでは、学生同士の交流や共同研究、地域コミュニティでのイベントなどを通じて、互いの社会への理解を深めてきました。こうした草の根の取り組みは、国際ニュースの見出しにはなりにくいものの、相手の国を「遠い存在」から「顔の見える隣人」に変えていく力を持っています。
APECペルー会合に寄せる期待:女性の権利を議題に
2025年にペルーで開かれる予定のAPEC首脳会議に向けて、モライマさんは「女性の権利と利益」が主要なテーマの一つとして議論されることを望んでいます。APECは、アジア太平洋地域のメンバーが経済協力を進める枠組みですが、持続可能な成長のためには、女性の参加と保護が欠かせないからです。
彼女が注目している論点は、例えば次のようなものです。
- 女性の労働参加と賃金格差の是正に向けた法制度や政策
- 家庭内暴力やハラスメント防止に関する各メンバーの取り組み共有
- 女性起業家や若い女性研究者への支援策
- デジタル分野やSTEM(科学・技術・工学・数学)での女性の活躍を後押しする環境づくり
こうした議論が進むことで、メキシコと中国を含むAPECメンバー全体で、女性の権利保護に関する「共通の土台」が少しずつ広がっていく可能性があります。
アジア太平洋の若者がつくる新しいつながり
モライマさんの歩みは、アジア太平洋地域の若者がどのようにして互いの社会を学び、未来の協力の土台を築いているのかを示す一つの例です。法律という専門的な分野を通じて、メキシコと中国の女性の権利の課題を比較することは、APECが掲げる「包摂的な成長」を現実のものにする上でも意味があります。
日本に暮らす私たちにとっても、このストーリーは他人事ではありません。日本語だけでは届きにくい情報がある一方で、日本から発信される経験や知見も、スペイン語や中国語に翻訳されることで、アジア太平洋の他の地域の若者に届いていくかもしれません。
読者への問いかけ:私たちにできる小さな一歩
モライマさんのように他国へ留学することは簡単ではありませんが、日常の中でできることもあります。
- 複数の言語や視点から国際ニュースを追ってみる
- 女性の権利やジェンダー平等に関する自国の制度を改めて学んでみる
- 留学生や海外経験のある人の話を聞き、SNSで共有する
一人ひとりの小さな行動が、アジア太平洋地域の理解と連帯を少しずつ深めていきます。メキシコの若者が北京で学ぶ姿は、そのことを静かに教えてくれているようです。
Reference(s):
cgtn.com








