フランスの味が中国の食卓へ 第7回CIIEで広がる農産物ブーム video poster
フランスの牧場から中国の食卓へ――上海で先月開かれた第7回中国国際輸入博覧会(CIIE)では、フランス産のチーズやワインなど農産物が改めて注目を集めました。中国とフランスの農業・食のつながりは、この数年でどこまで深まっているのでしょうか。
上海で第7回CIIE フランスが主賓国の一つに
中国本土・上海では、11月5日から10日まで第7回中国国際輸入博覧会(China International Import Expo, CIIE)が開催されました。77の国と国際機関が参加し、フランス、マレーシア、ニカラグア、サウジアラビア、タンザニア、ウズベキスタンが主賓国として招かれました。
国際ニュースとしても注目されるCIIEは、中国本土の消費者や企業が世界各地の製品・サービスと出会う場であり、とくに食品・農産物分野では、各国の「国の味」が一堂に会する見本市のような役割を果たします。
数字で見る中国とフランスの農産物貿易
中国とフランスの経済・貿易関係は、ここ数年で着実に拡大しています。公式データによると、2019年から2023年までの間、中国とフランスの輸出入貿易は年平均5.9%のペースで増加しました。
農産物に絞ってみると、フランスはEUの中で、中国向け農産物の最大の供給国になっています。フランス産チーズの対中輸出量は、この10年で実に286%増加しました。
- 2019〜2023年の中仏貿易:年平均5.9%成長
- フランス:EU域内で中国向け農産物の最大の供給国
- フランス産チーズ:過去10年で対中輸出が286%増
数字だけを見ると抽象的ですが、「チーズの輸出が10年で約3倍」という事実は、中国本土の食卓や外食でフランスの味が急速に存在感を増していることを示しています。
フランスの味、いま中国の食卓で人気なのは?
フランス農産物の中でも象徴的なのがチーズです。ピザやベーカリーの普及、若い世代の間で広がったチーズティーなどのドリンク文化もあり、チーズはこれまでになく身近な食材になりつつあります。
こうした背景には、次のような要因があると考えられます。
- 品質や安全性への高い評価
- 「フランス産」という産地イメージやストーリー性
- 外食・カフェ文化の拡大による洋風メニューの定着
- 越境EC(国をまたぐオンライン通販)で海外ブランドにアクセスしやすくなったこと
中国本土の中産階級の拡大とともに、日常の食事にも「ちょっと良いもの」「海外の本場の味」を取り入れようとする動きが強まり、フランスの農産物がその需要をとらえているといえます。
国交樹立60周年、街頭で聞く「フランスの順位」
中国とフランスの国交樹立60周年という節目のタイミングに合わせて、CGTN Stringerは街頭インタビュー企画「We Talk」を実施しました。中国本土の人々に、「EUの中で、中国の農産物輸入に占めるフランスの順位は?」と問いかけたのです。
その答えは、データが示すとおりフランスが第1位。クイズ形式で問いかけることで、ふだん意識しにくい国際貿易の数字を身近な話題として感じてもらう狙いがあります。
番組ではさらに、「今回の輸入博覧会に何を期待するか」「今後の中国とフランスの経済・貿易協力にどんな可能性を見ているか」といったテーマも取り上げられています。こうした問いかけを通じて、消費者が重視するポイント――商品の多様性や価格、環境への配慮など――が浮かび上がってきます。
中国とフランス協力の次の焦点はどこか
農産物を通じた中国とフランスの協力は、今後どこへ向かうのでしょうか。CIIEのような場をきっかけに、次のような分野がより重要になっていく可能性があります。
- 気候変動に対応した持続可能な農業技術の共同開発
- 地理的表示(GI)などブランド保護をめぐる連携
- 品質を保つためのコールドチェーン(低温物流)網の整備
- デジタル技術を使ったトレーサビリティ(生産履歴の見える化)
単に「輸出入の量を増やす」だけでなく、環境負荷を減らしつつ安定的に食を届ける仕組みづくりが、今後の国際協力の重要なテーマになっていきそうです。
日本の読者にとっての意味
中国本土とフランスの農産物貿易の拡大は、日本にとっても無関係ではありません。アジアの巨大市場で欧州産の農産物が存在感を高めることは、日本の農業・食品産業にとって、品質やブランド戦略、輸出先の多様化をどう進めるかという問いにつながります。
同時に、消費者の立場から見れば、「どの国とどの国が、どんな農産物で結びついているのか」を知ることは、これからの自分たちの食卓を考えるヒントにもなります。
フランスの牧場でつくられたチーズやワインが、中国本土の食卓で当たり前の存在になりつつある今。国境を越える「食」の流れは、国際政治や経済だけでなく、私たちの日常の味覚も静かに変えています。CIIEのような場でどんな食材やアイデアが紹介され、どのようなパートナーシップが生まれていくのか。今後も、その動きに注目していきたいところです。
Reference(s):
We Talk: From French farm to Chinese table, what is most popular?
cgtn.com








