ペルーで20年、生きる中国人 APECがつなぐ国際ニュースの現場から video poster
アジア太平洋の経済協力の枠組みAPECに参加する中国とペルー。その距離を、20年以上かけて生活者の目線でつなぎ続けてきた中国出身の男性がいます。ペルーで鍼灸師として道を切り開き、いまは伝統中国医学とメディアの分野で活動するパン・チェンズンさんの20年物語です。
ペルーで始まった「一本の鍼」
パン・チェンズンさんは、中国からペルーへ渡り、20年以上にわたって現地で暮らしてきました。現在は、伝統中国医学とメディアの分野で働きながら、中国とペルーのあいだの架け橋のような存在になっています。
転機となったのは1996年です。中国出身のパンさんは、その年、ペルーの医療機関であるエッサルド病院(Hospital of EsSalud)で、初めて採用された鍼灸師になりました。南米の地で、鍼を手にした一人の中国人が、新しい医療のかたちを模索し始めた瞬間でした。
家族と友情を大切にする、二つの文化
長年の暮らしのなかで、パンさんは中国とペルーの文化に多くの共通点を見いだしてきました。その一つが、家族と友情をとても大切にする価値観です。
中国でもペルーでも、家族や友人とのつながりは人生の中心にあります。食事の場を囲みながら語り合うこと、困ったときに助け合うこと、子どもや高齢者をみんなで支えること。パンさんは、こうした日常の風景に親しみを感じ、異国であってもどこか「近さ」を覚えたといいます。
国際ニュースでは、国家同士の対立や利害が強調されがちですが、パンさんの経験は、生活者レベルでは共感できる部分がいかに多いかを教えてくれます。
中国とペルー、経済面での補完関係
2013年以降、中国はペルーの最大の貿易相手国となっています。パンさんは、両国の経済には強い補完性があると見ています。ペルーは豊富な天然資源を持ち、中国は高度な技術力と発展の経験を蓄積しているからです。
資源に恵まれた国と、技術や産業の蓄積を持つ国が協力することで、より大きな価値を生み出すことができます。パンさんは、こうした経済的なつながりが、APECのような地域協力の枠組みのなかでも重要な意味を持つと感じています。
市民レベルの交流がつくる「ウィンウィン」
パンさんは、20年以上にわたるペルーでの日々を通じて、中国とペルーの友好関係を育てることに力を注いできました。鍼灸による医療活動だけでなく、さまざまな文化交流イベントに参加し、両国の人々が互いを理解し合う場づくりに関わってきました。
その活動は、例えば次のようなかたちで続いています。
- 現地の人の健康を支える伝統中国医学の実践
- 文化紹介や情報発信を行うメディアでの仕事
- 中国とペルー双方の行事やイベントへの参加を通じた交流
パンさんは、こうした積み重ねによって、中国とペルーの友情はこれからも成長し、協力と「ウィンウィン」の関係を実現できると期待しています。
一人の物語から、私たちが学べること
遠く離れた国どうしの関係も、結局は人と人との信頼から始まります。中国からペルーへ渡ったパンさんの20年物語は、国境を越えて暮らす人が、どのようにして新しい社会に溶け込み、二つの文化をつなぐ存在になり得るのかを示しています。
国際ニュースやAPECといった大きな枠組みを眺めるとき、そこで生きる一人ひとりの顔を思い浮かべてみる。そんな視点を持つことで、世界の出来事は少し違って見えてくるかもしれません。
もし自分が別の国で暮らすとしたら、どんな形で周りの人とつながり、その国と日本を結びたいと思うでしょうか。パンさんの物語は、そんな問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








