中国のタクラマカン砂漠で進む砂漠化対策 草方格と太陽光で「緑の壁」 video poster
中国の新疆ウイグル自治区に広がるタクラマカン砂漠の周縁で、ここ数年、砂漠化を抑えるための大規模な取り組みが進んでいます。草で作るマス目状の「草方格」、太陽光発電所、防風林を組み合わせたこの試みは、過酷な砂漠に「緑のバリア」を築く国際ニュースとしても注目されています。
タクラマカン砂漠に広がる「緑のバリア」とは
タクラマカン砂漠は、世界で2番目に大きい流動性の砂漠とされ、中国西部の広大な地域を占めています。ここで進む砂漠化対策は、次の3つが柱になっています。
- 草方格(草を編んだマス目)による砂の固定
- 太陽光発電所の建設による発電と地表保護
- 砂漠の縁に沿った防風林の整備
この組み合わせによって、砂の移動を抑え、周辺の道路や居住地、インフラを砂嵐から守る「緑の壁」をつくることが目指されています。
草方格:ローテクだが効果的な砂の「ストッパー」
タクラマカン砂漠の砂漠化対策で象徴的なのが、草で作るマス目状の構造「草方格」です。乾燥に強い草や藁を地面に格子状に敷き詰めることで、次のような効果が期待されています。
- 風速を下げ、砂が舞い上がるのを防ぐ
- 砂がマス目の中にたまり、地面が安定する
- 少しずつ土壌ができ、植物が根付きやすくなる
最新の技術というより、自然の力を利用した「ローテク」の工夫ですが、広い範囲に継続して整備することで、砂漠の縁に帯状の保護ゾーンをつくる役割を果たしています。
太陽光発電所:再エネと砂漠化防止を一石二鳥で
タクラマカン砂漠周辺では、太陽光発電所の建設も砂漠化対策に組み込まれています。日射量の多い砂漠は、太陽光発電にとって非常に有利な立地です。
太陽光パネルを広範囲に設置することで、次のような相乗効果が生まれます。
- パネルが直射日光を遮り、地表の温度上昇を緩和する
- 風の勢いが弱まり、砂の移動を抑える
- 発電した電力を使って、灌漑設備やポンプを動かし、植林や緑化を支える
草方格のような地道な対策と、太陽光発電というエネルギーインフラを組み合わせることで、「砂漠化防止」と「再生可能エネルギーの拡大」を同時に進めるモデルづくりが行われています。
防風林:砂漠の縁に続く「緑の回廊」
さらに、中国はタクラマカン砂漠の縁に沿って、防風林を帯状に整備しています。道路沿いや居住地の周囲に樹木を植え、長期的に育てることで、砂嵐の被害を減らす狙いです。
防風林には、次のような役割があります。
- 風速を下げ、砂の飛散を防ぐ物理的な「壁」になる
- 土壌に根を張ることで、砂地を安定させる
- 微気候(局所的な気候)を変化させ、他の植物が育ちやすい環境をつくる
草方格で砂を抑え、太陽光発電所でエネルギーと日陰を生み、防風林で長期的な緑の帯を形成する。この三つを組み合わせてタクラマカン砂漠の周縁に「緑の回廊」を築く構想が進められています。
地域社会にも広がる効果
こうした砂漠化対策は、環境面だけでなく、地域社会や経済にも影響を与えつつあります。
- 砂嵐による道路の埋没や交通の遮断リスクが減ることで、物流が安定しやすくなる
- 太陽光発電や植林事業に関わる雇用が生まれ、地域の収入源が多様化する
- 緑地が増えることで、将来的な農業や牧畜の可能性も広がる
砂漠の拡大を食い止めることは、単に景観を変えるだけではなく、人々の生活基盤を守ることにも直結しています。
なぜいま砂漠化対策が国際ニュースなのか
2020年代の気候変動や水資源の問題が深刻化するなかで、砂漠化対策は世界共通の課題になりつつあります。アジア内陸部の巨大砂漠で進む中国の取り組みは、次の点で国際的な意味を持ちます。
- 極端な乾燥地帯での緑化と再生可能エネルギーの両立という実験場であること
- 大規模な砂漠化対策の経験が、他地域の政策設計にも参考になりうること
- 環境協力や技術交流の新たなテーマとして浮上していること
日本を含むアジア各地でも、干ばつや土地の劣化は無縁ではありません。タクラマカン砂漠での事例は、「極端な環境で何が可能か」を考えるうえで、一つの重要なケーススタディといえます。
日本の読者への示唆:砂漠は遠くても、問いは身近
日本から見れば、タクラマカン砂漠は遠い場所に感じられます。しかし、そこでは気候変動、再生可能エネルギー、インフラ保全、地域経済という、私たちにも共通するテーマが同時に動いています。
草方格という素朴な工法と、太陽光発電所という先端技術、防風林という長期的な投資を組み合わせる中国のアプローチは、「ローテク」と「ハイテク」をどう組み合わせて持続可能な社会をつくるのか、という問いを投げかけています。
タクラマカン砂漠の砂漠化対策を、日本やアジアの他地域の課題と重ね合わせて見ることで、私たち自身のエネルギー政策や環境対策を考え直すヒントが見えてくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








