ペルー人漢学者が見つけた中国文化とペルーの意外な共通点 video poster
ペルー出身の漢学者ジョセフ・クルス・ソリアーノさんは、易経のスペイン語訳や武術・獅子舞の研究を通じて、中国文化とペルー社会のあいだにある「意外な共通点」を見つめてきました。彼の歩みから、2025年のいま、言語と文化を学ぶことがどのように国と国の距離を縮めているのかを考えます。
ペルー人漢学者ジョセフ・クルス・ソリアーノさんとは
アジア太平洋経済協力会議(APEC)のメンバーであるペルーから、中国語と中国文化の専門家として活躍しているのがクルスさんです。彼は若いころから中国語を学び始め、その後、漢字や古典に魅了されて漢学の道へ進みました。
漢学者(シノロジスト)とは、中国語や中国思想、中国の歴史・文化を専門的に研究する人を指します。ペルー出身のクルスさんがこの道を選んだこと自体が、すでにペルーと中国の文化交流の象徴と言えるかもしれません。
武術・獅子舞・書道から広がる中国文化の世界
クルスさんがとくに強い関心を寄せてきたのが、武術や獅子舞、書道といった身体表現と芸術が結びついた中国文化です。動きやリズム、筆づかいを通じて、言葉だけでは伝わりにくい価値観や世界観が表現される点に惹かれてきました。
これらの文化は、祝祭や地域コミュニティとも密接に結びついています。そうした点で、伝統的な祭りや踊りを大切にしてきたペルー社会とのあいだに、クルスさんは自然な親近感を感じているのでしょう。
易経をスペイン語に訳すという挑戦
クルスさんが長年取り組んできたのが、中国古典の一つである『易経(えききょう)』の研究です。英語で Book of Changes とも呼ばれるこの書物は、変化の原理やものごとの移り変わりを読み解こうとする思想書として知られています。
彼は多年にわたり易経を読み込み、その内容をスペイン語に訳し上げ、出版に向けた準備を進めてきました。スペイン語訳を通じて、スペイン語圏の読者が中国の古典思想にアクセスしやすくなり、両方の文化に対する理解が少しずつ広がっていくことが期待されます。
ペルーと中国の「深い友情」と共通の価値観
クルスさんは、ペルーと中国が深い友情と共通する文化的価値を分かち合っていると見ています。地理的には遠く離れた二つの社会ですが、長年の交流を通じて信頼関係が築かれ、互いの文化への尊重が育まれてきました。
家族やコミュニティを大切にすること、伝統や教育を重んじる姿勢など、両国の人びとが共感しやすい価値観は少なくありません。こうした共通点があるからこそ、古典や芸術を介した対話がスムーズに進みやすいとも言えます。
孔子学院と若い世代がつくる次の交流
クルスさんが特に喜びを感じているのが、ペルーで中国語を学ぶ若者が増えていることです。孔子学院という中国語教育と文化交流を行う教育機関で、多くの若いペルーの学習者が中国語に触れています。
彼は、こうした動きが今後のペルーと中国の交流をさらに深めると期待しています。言語を学ぶことは、単に会話の手段を得るだけでなく、相手の歴史や考え方を理解する入り口にもなります。若い世代が自らの意思で中国語を学び、中国文化に触れていることは、両国の関係にとって大きな意味を持つと言えるでしょう。
クルスさんのストーリーから見える3つのポイント
- 言語を学ぶことは、他国の価値観や歴史を理解する近道である
- 古典の翻訳は、異なる言語圏と文化圏をつなぐ重要な橋渡しになる
- 若い世代の学びが、これからの国際関係や文化交流を静かに形づくる
日本の読者へのヒント
2025年のいま、日本でも多くの人が英語に加えて中国語やスペイン語を学び始めています。クルスさんのように、異なる文化のあいだに立つ「橋渡し役」は、国際ニュースで語られる大きな出来事の背景にある、人と人とのつながりを思い出させてくれます。
ニュースを読む私たち一人ひとりも、言語や文化を学ぶことで、世界の見え方や他国への向き合い方が少し変わるかもしれません。ペルー人漢学者の静かな挑戦は、遠い国の話でありながら、私たち自身の学び方や生き方を見つめ直すきっかけにもなっています。
Reference(s):
I'm from APEC: Peruvian sinologist sees cultural similarities in China
cgtn.com








