ガザ南部で波が避難テントを破壊 母親が語る「行き場のない夜」 video poster
ガザ南部でテント破壊 雨と波が奪った「最後の避難場所」
ガザ南部カーンユニス西側の海岸で、激しい雨と高波により避難民のテントが相次いで押し流され、行き場を失う人々が出ています。海辺に張られたテントは、多くの人にとって「最後の避難場所」でした。
何が起きているのか:雨と高波がテントをのみ込む
南部ガザのカーンユニス西側に広がる海岸では、ここ最近の激しい雨が続き、地面がぬかるむなかで潮位も上昇しました。波が何度も押し寄せるたびに、砂浜に並んだテントが破れ、支柱ごと倒されていきます。
もともと別の場所から避難してきた人々は、何度も移動を繰り返した末に、この海辺にたどり着きました。しかし、その最後の拠点だったテントまでもが波にさらわれ、再び「次の行き先」を探さざるを得ない状況になっています。
母親が語る恐怖の一夜「子どもたちが海に流されかけた」
避難民の女性ウム・アフマドさんは、中国のメディアCGTNの取材に対し、子どもたちが体験した恐怖の瞬間を語りました。雨と風が強まるなか、テントに押し寄せた波が一気に流れ込み、子どもたちが海に流されかけたといいます。
ウム・アフマドさんの家族は、ほとんどすべての持ち物を失いました。テントの中にあった衣類や生活用品は水浸しになり、使えなくなったものも少なくありません。彼女は、繰り返し住まいを失ってきたこれまでの日々を思い返しながら、今度こそ本当に行き場がなくなったと感じています。
彼女は嘆きながら、こう語りました。「私たちには行く場所がありません。海辺へ移ってきましたが、今はここも失いました。これからどこへ行けばいいのでしょうか。」その言葉は、同じ海岸で夜を過ごす多くの人々の思いを代弁しているようです。
物価高騰が追い打ち 食料も衣類も足りない
状況をさらに厳しくしているのが、物価の高騰です。ウム・アフマドさんによれば、生活に必要な品々の値段が上がり続けるなかで、子どもたちに十分な食事を与えることも難しくなっています。
食料だけでなく、衣類や毛布も不足しています。雨でぬれた服を乾かす場所も限られ、夜になると冷え込みが厳しくなる中で、子どもたちは薄い布にくるまって耐えるしかありません。波にさらわれたのはテントだけでなく、人々の「安全でいられる場所」という感覚そのものです。
重なる危機の中で問われる「どこへ行けばいいのか」
何度も避難先を変え、ようやくたどり着いた海辺のテント。その最後の拠点が、自然の力によって一瞬で奪われた今回の出来事は、避難生活の脆さを象徴しています。
テントが破れ、持ち物が流され、物価高騰で食料や毛布も十分に手に入らない。その中で、子どもたちが波にさらわれかけるほどの危険にさらされている現実は、日々のニュースの見出しだけでは伝わりにくい、人間一人ひとりの物語でもあります。
ウム・アフマドさんの「どこへ行けばいいのか」という問いは、遠く離れた私たちにも向けられています。ガザの海岸で今起きていることを、私たちはどう受け止めるのか。支援や関心のあり方を、あらためて考えさせられる出来事だといえるでしょう。
Reference(s):
Waves destroy the last shelter, leaving Gazan refugees with no escape
cgtn.com








