韓国でユン大統領に逮捕状 弾劾後、市民が退陣求め街頭へ video poster
韓国の国際ニュースとして注目を集めているのが、弾劾を受けたユン・ソクヨル大統領に対する逮捕状発付と、その直後に起きた市民の街頭抗議です。2025年1月の出来事ですが、その意味合いは今も韓国政治と民主主義のあり方を問いかけています。
何が起きたのか──現職大統領に初の逮捕状
2025年1月3日、韓国の高位公職者の腐敗を捜査する機関である「高位公職者犯罪捜査処(CIO)」の捜査官が、大統領公邸を後にしました。目的は、弾劾されたユン・ソクヨル大統領の逮捕でしたが、この日、逮捕は実現しませんでした。
CIOは、その後の説明で、ユン大統領側との対立が続き、ソウルの裁判所が出した逮捕状を執行することが「事実上、不可能」になったと明らかにしています。逮捕状は同じ週の火曜日にソウルの裁判所から発付されたもので、韓国の現代史の中で、現職大統領に逮捕状が出されたのは初めてとされています。
ユン大統領はすでに弾劾手続きの対象となっていますが、「現職の国家元首に対する逮捕状」という状況は、韓国にとって前例のない局面です。
翌日、市民が街頭へ──退陣を求める声
翌日の1月4日、韓国内では、市民がユン大統領の退陣を求めて街頭に集まる様子が見られました。なかでも注目されたのが、南東部の都市・大邱(テグ)での動きです。
現地を取材したCGTNのストリンガーは、大邱の街頭で市民が集会やデモを行う様子を伝えています。人びとは、ユン大統領の弾劾と逮捕状という異例の状況に注目し、政権の退陣を求めて声を上げていました。
大邱という舞台の象徴性
大邱が特に注目されるのは、ユン大統領にとって「原点の地」とも言える場所だからです。ユン氏は1994年、この大邱の地方検察庁で検事としてキャリアをスタートさせました。
その出発点となった都市で、自身の退陣を求める市民が街頭に立っている――。この構図は、単なる政権批判を超え、権力と責任、そして政治家の「原点」を市民が問い直しているようにも映ります。
韓国民主主義にとっての分岐点
今回の一連の動きには、少なくとも次のような論点があります。
- 現職大統領に逮捕状が出されるという、司法と行政の関係をめぐる歴史的な局面であること
- 弾劾手続きの対象となった大統領に対し、市民が自ら街頭に出て意思を示していること
- 大統領のキャリアの原点ともいえる大邱で抗議が起きているという象徴性
こうした要素が重なり合うことで、今回の出来事は韓国国内だけでなく、国際社会にとっても「民主主義の成熟度」や「権力の監視のあり方」を考える材料となっています。
私たちがこのニュースから考えたいこと
韓国の政治状況は日本から見ると「隣国の話」に見えがちですが、次のような問いかけとして、自分ごととして捉えることもできます。
- 権力を持つトップが不正の疑いをかけられたとき、どこまで独立した機関が捜査できるべきか
- 市民が政治に対して意思表示をする手段として、選挙以外にどのような形が望ましいのか
- 「弾劾」「逮捕状」といった強い手続きが用いられるとき、その社会は何を守ろうとしているのか
ユン大統領をめぐる捜査と市民の動きは、韓国という一つの国のニュースであると同時に、民主主義社会に共通する課題を映し出す鏡でもあります。今後の捜査の行方や、市民社会の反応がどのように展開していくのか、引き続き注視する必要があります。
Reference(s):
Stringer Dispatch: South Koreans take to the streets for Yoon's ouster
cgtn.com








