現職大統領への逮捕状と韓国世論 ユン・ソンニョル氏を巡る揺れ video poster
韓国で初めて現職大統領に逮捕状が出され、執行に向かった捜査当局が大統領公邸から引き揚げました。国際ニュースとしても注目されるこの動きについて、ソウルの人びとはどう見ているのでしょうか。
何が起きたのか:現職大統領に初の逮捕状
韓国の高位公職者を対象とする反腐敗捜査機関、高位公職者犯罪捜査処(CIO)の捜査官らは、金曜日、ユン・ソンニョル大統領の逮捕に踏み切ろうと大統領官邸を訪れました。しかし、対峙が続いた末に逮捕には至らず、そのまま公邸を後にしました。
CIOによると、この対峙の継続により、火曜日にソウルの裁判所が発付した逮捕状を実際に執行することは事実上不可能になったと判断したといいます。韓国の現代史の中で、在任中の大統領に逮捕状が出されたのはこれが初めてとされています。
ユン氏はすでに弾劾訴追を受けた大統領とされていますが、逮捕状の発付とその執行の試みは、2025年12月現在の韓国政治を揺るがす出来事となっています。
ソウル市民の声:動きが遅いとのいら立ちも
メディアCGTNは、首都ソウルで韓国市民にインタビューを行い、ユン・ソンニョル氏をめぐる逮捕の試みについて意見を聞きました。そこからは、政治への不信感や手続きの遅れへのいら立ちがにじみ出ています。
アーティストのイ・スジンさんは、現在の進み方について「遅すぎる」と指摘します。イさんは、まもなく大規模な集会が予定されているとしたうえで、次のように懸念を語りました。
「まもなく大規模な集会が開かれることになっていますが、もしユン氏が速やかに逮捕されなければ、立場の異なる集団どうしの衝突が起こるリスクがあります。そうなれば、避けられたはずの混乱が生じてしまうでしょう。」
こうした声は、政治的な立場を超えて社会の緊張が高まっていることを示しています。
法の支配か、政治対立の激化か
今回のユン・ソンニョル氏への逮捕状は、汚職や権力乱用への厳しい姿勢を象徴する動きとして評価する見方があります。一方で、強い対立感情の中で進む捜査や弾劾は、政治的な分断をさらに深めるのではないかという懸念もあります。
韓国では、大統領というトップの責任をどこまで問うべきか、そして捜査機関や司法がどれほど独立して機能しているのかが、国内外から注目されています。今回のケースは、その問いをあらためて突きつけるものになっています。
集会と衝突リスク:市民が案じる「次の局面」
イ・スジンさんが言及したように、今後ソウルなどで大規模な集会が開かれる見通しがあるとされています。支持派と批判派、それぞれの集会やデモが同じ空間や時間に重なれば、言い争いや物理的な衝突が起きるリスクは高まります。
こうした状況の中で、多くの人びとが望んでいるのは、暴力ではなく平和的な意思表示と、透明性の高い司法手続きだと考えられます。逮捕状の執行が進むのか、それとも新たな政治的妥協が探られるのか。韓国社会は緊張と不安の中で次の局面を見守っています。
日本の読者への問い:民主主義とリーダーの責任
現職大統領への逮捕状というニュースは、韓国固有の政治状況を映し出すと同時に、多くの国に共通するテーマも含んでいます。それは、民主主義のもとでリーダーの責任をどう問うのかという問題です。
トップの不正や疑惑を見逃さないことと、社会の分断や政治的不安定を避けること。その二つを同時に達成するのは簡単ではありません。韓国でいま起きていることは、法の支配、政治的中立性、市民の信頼をどのように両立させるかという難しい課題を私たちに考えさせます。
2025年12月8日現在、ユン・ソンニョル氏をめぐる捜査と政治的対立は続いています。今後の韓国社会の動きは、日本を含む周辺地域の政治や安全保障、経済にも、じわりと影響を与える可能性があります。ニュースを追いながら、自分なりの視点を持って見つめていくことが求められています。
Reference(s):
We Talk: How do South Koreans view attempted arrest for Yoon Suk-yeol?
cgtn.com







