北京の冬、フライフィッシングが熱い 中国「釣り大国」のいま video poster
北京の厳しい冬の川辺で、静かに糸を垂らす人々がいます。中国ではいま、釣りが大人気のアウトドアとして広がり、巨大な市場とデジタル文化を生み出しています。本記事では、中国の釣りブームと、北京の冬を舞台にしたフライフィッシングの姿を追います。
中国で広がる釣りブームと巨大市場
中国釣魚協会の統計によると、2023年末時点で中国には約1億4,000万人のアクティブな釣り愛好家がいるとされています。人口規模を考えると、釣りはすでに国民的なアウトドアとして定着しつつあると言えます。
中国は釣り具の製造でも世界をリードしています。世界の釣り具製品の8割超が中国で生産されており、いわば釣り具の製造大国です。2023年末までに、釣り具および関連産業の市場規模は人民元で500億元を超え、釣り関連企業は63万6,000社以上に達しました。
主要な釣り具製品の輸出額も約18億米ドルに上り、中国国内のレジャーとしての釣りが盛り上がるだけでなく、世界の釣り文化と市場を支える存在にもなっています。
SNSで可視化される釣り文化 #fishing が示す人気ぶり
釣り人気を支えているのは、川辺や湖だけではありません。動画プラットフォームのDouyin(抖音)上では、#fishing#という話題が累計で2,900億回以上再生されているとされています。釣りの動きや景色、テクニックが短い動画として共有され、多くの人の目に触れています。
かつてはベテランに同行しないと学びにくかった釣りの世界も、いまはスマートフォンの画面越しにその一端を知ることができます。人気の理由や道具の選び方、失敗談までがコンテンツになり、見ているうちに自分もやってみたいと感じる人が増えていきます。
こうしたデジタル空間での盛り上がりは、釣りを単なる趣味から、情報発信やコミュニティづくりを伴うライフスタイルへと変えつつあります。
冬こそ出番?フライフィッシングと冷たい水
なかでも注目されているのが、フライフィッシングというスタイルです。フライフィッシングは、虫などのエサに似せて作った人工の疑似餌を使う、独特の釣り方です。自然のエサをそのまま使うのではなく、本物の動きを模した軽い疑似餌を水面や水中で操作し、魚を誘います。
フライフィッシングの主な対象は冷水を好む魚であり、こうした魚は冬の方が活発になるとされています。そのため、多くの釣り人があえて寒さの厳しい冬を選び、この釣り方に挑戦しています。
北京のフリーランサー・Li Yuさんの冬の物語
北京在住のフリーランサー、Li Yuさんもその一人です。友人との旅行に参加したことがきっかけでフライフィッシングを紹介され、それがこのスポーツとの出会いになりました。そこからLi Yuさんのフライフィッシングの旅が始まったといいます。
フリーランスという働き方は、仕事の合間に自然の中で過ごす時間を見つけやすい面もあります。Li Yuさんのように、都市で働きながらも、冬の川辺で静かに竿を振る時間を持つ人が増えているのかもしれません。
冷たい水に映る中国社会のいま
釣り人口1億4,000万人、世界シェア8割超の釣り具生産、500億元規模の市場、2,900億回再生のハッシュタグといった数字からは、釣りが中国でいかに大きな存在になっているかが見えてきます。
一方で、その舞台は都市近郊の川や湖、そしてスマートフォンの画面と、多層的です。北京の冬の川辺でラインを投げる一人ひとりの背後には、産業、デジタル文化、働き方の変化といった社会の広がりがあります。
次に寒い季節のアウトドアや中国のライフスタイルについて語るとき、冬の釣りというキーワードを思い浮かべてみると、ニュースの読み方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








