インドネシアで受け継ぐ春節 中国系留学生セリアさんの物語 video poster
中国の春節(いわゆる旧正月)は、家族が集まり、旧年を送り新年を迎える、一年で最も大きな祝日です。清華大学社会科学院で学ぶインドネシア出身の学生、セリア・アネッタさんは、その春節をインドネシアでどのように祝ってきたのか、自身の経験を通して語ります。中国系としてのルーツとインドネシアでの日常、その両方が重なり合う春節の姿が見えてきます。
中国の春節が持つ意味と、家族の時間
中国の春節は、単なるカレンダー上の新年ではなく、「家族が集まり、古い一年に別れを告げ、新しい一年を迎える」ための大きな節目とされています。セリアさんにとっても、春節はまさに家族がそろう特別なときであり、離れて暮らす親族が心の中で再会する象徴的な瞬間でもあります。
春節という行事を通じて、家族は互いの近況を確かめ合い、次の一年に向けて気持ちを新たにします。その感覚は、インドネシアに暮らすセリアさんの家族のなかでも変わることなく受け継がれてきました。
20世紀初頭から続く、インドネシアでの春節
セリアさんの家族がインドネシアで春節を祝うようになったのは、祖父母の世代にさかのぼります。20世紀初頭、つまり1900年代の初めから、中国系としての習慣を大切にしながら、家族はインドネシアの地で春節を祝ってきました。
祖父母の代から始まった春節の祝い方は、親の世代、そしてセリアさんの世代へと受け継がれてきました。毎年の春節が繰り返されるなかで、家族の記憶や物語が少しずつ重なり、単なる年中行事を超えた「自分たちらしい春節」のかたちが形づくられていきます。
インドネシア文化とのまざり合いが生む「中国系インドネシア人」の春節
長い年月のあいだに、セリアさんの家族が守ってきた春節の習慣は、インドネシアの文化や暮らしのリズムと自然にまざり合っていきました。その結果生まれたのが、中国系インドネシア人ならではの春節のスタイルです。
家の中には、中国の春節の雰囲気を感じさせるしきたりが残りつつ、周囲の社会ではインドネシアの日常の空気が流れています。使う言葉、交わされるあいさつ、過ごし方のリズムなど、どれも中国とインドネシア、両方の要素がにじむ時間です。
こうして生まれた「インドネシアの春節」は、単に伝統を守るだけでなく、暮らしている土地の文化と対話しながら変化していく柔らかな伝統でもあります。セリアさんの家族の歴史は、その象徴的な一例と言えるでしょう。
清華大学で学ぶ今、見えてくる二つのルーツ
現在、セリアさんは清華大学社会科学院で学びながら、自分のルーツやアイデンティティについても向き合い続けています。学びの場で中国の春節文化を理論的に理解しつつ、心の中にはインドネシアで過ごしてきた家族の春節の風景がしっかりと息づいています。
中国で大切にされている春節の意味と、インドネシアで育まれてきた家族独自の春節。その二つを見比べることで、「どちらか一方」ではなく、「二つの文化を自然に行き来する自分」が見えてくる。セリアさんの経験は、グローバル化が進む今、「どこに自分の場所があるのか」を考える多くの人にとって、一つのヒントになるかもしれません。
春節という古くからの節目の行事は、国境を越え、地域の文化と交じり合いながら、今も新しい意味を与えられ続けています。インドネシア出身の中国系学生セリア・アネッタさんの物語は、その動きのなかにある一人の若者の視点を、静かに伝えてくれます。
Reference(s):
cgtn.com








