米国人映画制作者が語る「本当の中国」:中国映画でひろがる異文化対話 video poster
中国映画産業で仕事をする米国人映画制作者ボビー・モッサーは、「自分が出会った本当の中国」を映画を通して伝えたいと語ります。中国語を学び、現地で働いてきた外国人の目に、中国はどのように映っているのでしょうか。
動画「We Talk」で見えた、米国人クリエイターのまなざし
ボビー・モッサーは、中国南西部・四川省にある西南財経大学で中国語を学んだ米国人の映画制作者です。最近公開された動画インタビュー「We Talk」では、中国での仕事や映画づくりの経験について、自身の言葉で語りました。
インタビューの中でモッサーは、中国で学び、働く中で出会った人々や日常の風景が、自分の映画制作に大きな影響を与えてきたと振り返ります。その背景には、「外から来た自分だからこそ見える中国」を、できるだけ正確に、そして丁寧に描きたいという思いがあります。
モッサーが感じる「活況の中国映画産業」
モッサーは、中国の映画産業について「活況を呈しており、多くの才能ある映画制作者を引きつけている」と評価しています。現場で働く立場から、そのダイナミズムを肌で感じているからこその言葉だといえます。
中国映画産業が「活況」だと感じる背景には、次のようなポイントがにじみ出ています。
- 新しい映画制作者が次々と現れ、多様なスタイルの作品が生まれていること
- 国内外から才能が集まり、協働の機会が広がっていること
モッサーの視点からは、中国の映画現場が「新しい物語を試し、共有していくための大きな実験場」のように映っているとも読み取れます。
「本当の中国」を映したい、その背景にある思い
インタビューの中で、モッサーは「自分が出会ってきた、リアルで本当の中国を映画で描きたい」と語りました。この「本当の中国」という言葉には、さまざまな意味が重なっていると考えられます。
それは、観光イメージやニュースの見出しだけでは伝わりにくい、次のような日常に近い姿かもしれません。
- 街角の小さな店や市場で交わされる、何気ない会話
- 友人や家族との食事の時間に流れる、ゆるやかな時間
- 仕事や勉強に向き合う人々の表情や葛藤
モッサーにとっての「本当の中国」は、統計やスローガンではなく、自分が中国語で会話し、暮らしの中で触れてきた個々の人の物語だといえるでしょう。その空気感を、スクリーンの中にどう持ち込むかが、彼の映画づくりの軸になっています。
映画がつなぐ異文化コミュニケーション
モッサーが強調したのが、映画を通じた異文化コミュニケーションの可能性です。彼は「できる限り多くの異文化間のコミュニケーションとストーリーテリング(物語の共有)が起きてほしい」と話しました。
ここでいう「ストーリーテリング」とは、単に物語を届けることではなく、「ある社会の中で生きている人々の視点を分かち合う」という行為に近いものです。映画は、字幕や言語の壁を越えて、他者の視線や感情を追体験できるメディアでもあります。
日本の視聴者にとっても、モッサーの言葉は次のような問いかけとして受け取ることができます。
- 私たちは、中国をどのような物語として理解してきただろうか。
- その物語は、誰の視点から語られたものだったのか。
- 外国人クリエイターが見る中国の姿は、自分のイメージとどう違うのか。
こうした問いを意識しながら映画を見ることで、一つひとつの作品が「国際ニュース」を補完する、もう一つの情報源として機能し始めます。
日本の視点から考える「中国を撮る」ということ
日本から中国を見るとき、ニュースやSNSのトレンドが、イメージ形成に大きな影響を与えています。一方で、現地で学び働くクリエイターがカメラを向ける先は、こうしたイメージとは少し違うところにあるのかもしれません。
モッサーのような外国人映画制作者の試みは、次のような示唆を含んでいます。
- 一つの国や社会を理解するには、ニュースだけでなく「物語」に耳を傾ける必要があること
- 外から来た視点が、現地の人々にとっても自分たちの姿を見つめ直す鏡になりうること
- 異なる文化のあいだで共同制作された作品は、双方の視聴者にとって新しい気づきをもたらすこと
中国映画を日本語で鑑賞することは、言語の壁を超えつつ、文化の違いと共通点を静かに確認していくプロセスでもあります。そこに、モッサーが望む「できる限り多くの異文化間のコミュニケーション」の入り口があると言えるでしょう。
おわりに:スクリーン越しの「リアル」をどう受け取るか
ボビー・モッサーが語る「本当の中国」を撮りたいという思いは、中国をどう見るかだけでなく、「他者のリアルをどう受け取るか」という、より普遍的なテーマにもつながっています。
スクリーンに映し出されるのは、あくまで誰かの視点を通じた「一つの中国」です。しかし、その一つひとつの物語に丁寧に向き合うことで、私たちはステレオタイプから少しずつ離れ、多層的なイメージを積み重ねていくことができます。
次に中国を舞台にした映画や動画作品を見るとき、「この物語を語っているのは誰か」「どんな経験にもとづいた視線なのか」という問いを頭の片隅に置いてみる。モッサーのインタビューは、そんな見方をそっと提案しているように感じられます。
国際ニュースと映画が交差する場所で、私たちの世界の見え方もまた、少しずつ更新されていきます。
Reference(s):
We Talk: U.S. filmmaker wants to show the real China through films
cgtn.com







